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「──あ、ごめん。もう歩けるから」
しばらく揺られているうち、ふと抱えられたままだということに気がつく。
しかし返ってきたのは、いかにも面倒そうな視線。
「あぁ？運んでやってんのに大した文句じゃねーかぁ」
「も、文句って……！」
いとも簡単に一蹴されてしまい、思わず語気が強まる。
「……別に、運んでもらわなくても大丈夫だよ」
10年前の姿だからって、なめられてるんだろうか。
元々ヴァリアー内では最年少だったけど、ここまで過保護にされる覚えはない。
眉を寄せ、表情ひとつ変えないスクアーロを見上げる。
私の不満げな表情に気づいていながら、なお無視を決め込む態度に、再び口を開いた時だった。
「大丈夫かどうかは、テメェの足に聞くんだな」
……へ。
こぼれたのは、そんな気の抜けた声。
ようやくこちらに向けられた瞳に、あどけない私の表情が映る。
「足？……あ、」
言われるまま視線を落とし、私はようやく気がついた。
抱えられた足の先。
追手から逃げる際、誤って受けてしまった傷に、雑に破いた布切れが巻かれている。
「あんな雑魚共にやられてちゃあ、この時代は生き抜けねーぞぉ」
あまりに図星すぎる言葉に、私はきつく唇を噛んだ。
……何も、言い返せない。
スクアーロがいなかったら今頃、きっと……
それだけじゃない。
こっちに来てから誰かに頼ってばかりで……私ひとりじゃ、何もできなかった。
「……なんで」
ぽつりと呟いた声に、スクアーロが眉をひそめる。
「なんで助けに来たんだよ」
過去から来たばかりの、無知で何もできない私を助けるメリットなんて。
同じ疑問がぐるぐると頭を巡る。
そんな私に降ってきたのは──盛大なため息。
「自分で言ったことも忘れたか？」
「……え」
「自分は“ヴァリアーの守護者”だと。このオレたちが──ファミリーの人間を、白蘭なんぞに易々と渡すわけねーだろうがぁ」
目を見開く。
そうだ。
何があろうと、私は。
「…………ま、そのうち自力で脱出してたけどね」
「ハッ。どうだか」
鼻で笑いながら、スクアーロはそう吐き捨てた。
どうせまた、極悪人みたいな笑みでも浮かべてるんだろう。
結局、顔は上げられなかったけど。
「本当、昔っから……可愛くねーなぁ、テメェは」
……どれだけ子ども扱いすれば気が済むのか。
けれど今回ばかりは、反論することはできなかった。
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
