朝はもう来ない ページ3
少女に導かれた場所は、店の倉庫だった。
「ここなら店主のおじさん以外誰も来ないわ」
どこからか持ち出してきた椅子に、少女は腰掛けた。シュイに話すように促す。
「君は、砂漠の国がありました...という歌を知っているか」
「五つの国の歌でしょう」
少女は鈴を転がすように歌い出した。
砂漠の国がありました
雨は少なく田畑枯れ
ある時青年言いました
神様神様お願いです
僕らに水のお恵みを
神様願いにこたえます
彼に力をあげました
水を操る力です
砂漠の国は潤って
青年は今王となる
氷の国がありました
凍った暖炉に火は着かず
ある時老婆が言いました
神様神様お願いです
我らの国に火をください
神様願いにこたえます
彼女に力をあげました
炎を操る力です
氷の国は暖まり
老婆は今王となる
荒野の国がありました
不毛の土地に草生えず
ある時少年言いました
神様神様お願いです
僕らの土地に豊作を
神様願いにこたえます
彼に力をあげました
緑を操る力です
荒野の国に実りあり
少年は今王となる
太陽の国がありました
強き日差しは病呼び
ある時少女が言いました
神様神様お願いです
強い日差しを遮って
神様願いにこたえます
彼女に力をあげました
土を操る力です
太陽の国を天井覆い
少女は今王となる
戦の国がありました
終わらぬ戦に疲弊して
ある時壮年言いました
神様神様お願いです
我らの戦いに終わりを
神様願いにこたえます
彼に力をあげました
金を操る力です
戦の国の武器壊れ
壮年は今王となる
5つの国がありました
神様守る国々を
治める王は力を持ち
豊かに平和に民は暮らす
「そう、その歌だ。だけど、それはそこで終わりではない」
どういうこと、と少女は首をかしげた。
「こんな続きがあるんだ」
シュイは歌い出す。
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作者名:和人 | 作成日時:2020年2月15日 1時