取引の相手 ページ11
ぼんやりと答えた瑞稀はそのまま小さくあくびをした。気の抜けた表情。
つなぎの袖を引っ張って握り、目尻に溜まった水滴をキュッと拭う。鮮やかな赤色が濡れて、濃くなったそこは静脈のよう。
「瑞稀って朝弱いのになんで早朝受けてんの？」
「指名で入るから。優斗にこきつかわれてんの」
「断わんないのが律儀だねぇ」
時計がチッチッチッと音を立てる。58分、59分、1秒、2秒、3秒…
「まぁ、今日はこれ終わったら寝るだけだし」
「予定通り終わればいいけど」
「…なにそれ」
「わざわざ対面指定してくるなんて、胡散臭くない？」
「はしもっちゃんにしては鋭いねぇ」
「って、優斗がいってた」
「あー、そーゆーこと」
「ま、さっさと終わらせて帰りましょ」
橋本が木箱を持ち上げるのが合図だ。瑞稀は倉庫の戸に手をかける。それが一人で開けられるなら荷物もそれなりに運べるだろうに、見ないふりをしてくれている橋本に、瑞稀は甘やかされている。
向こうの扉が同じように開く音がした。
ギィィィィっ…ドスッドスッ
音を消すつもりもなさそうな遠慮のない足取りは、あぁ、嫌だな、あの界隈の奴らは、野蛮で、汚いし。
「よぉ」
低く嗄れた声がする。スキンヘッドにカラーのセットアップ。黒のサングラスから覗く目元の傷。
それらしい雰囲気は、嫌いだ。
「こっちはA3のコンテナに、そちらはC7のコンテナに。お互いが戻ったのを確認して今度は受け取り。双方一人は見張りをして正面で中身の確認。よろしいですか？」
「おぅ」
にやつく髭面に嫌悪感が募った。びりびりと響くような声も、嫌なことを思い出しそうだ。早く終わらせてすぐに帰ろう。ローラーの速さには自信がある。
瑞稀を残して橋本が右端へと滑り出した。スイーッと滑っていくローラースケート。足音がしないところが好きなのだ。ほら、向こうから聞こえる革靴の足音。ザッザッとやる気なくコンクリートを削るところが勘に障る。
仕事を、と思えば目の前に髭面のしたり顔。見ているのが嫌で視線を落とした。すると今度はでっぷりと太った腹。見張りなんて、良いことなんもない。
ただ、それが品物であっても
瑞稀は拳銃に触れるのが嫌なのだ。
「置いたぜぇ」
「こちらも」
「戻ってこい」
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れわ(プロフ) - 和音♪さん» 和音♪さん初めまして！コメントありがとうございます〜！！！とっても嬉しいです！頑張れます！笑 ありがとうございますこれからもよろしくお願いします！ (2019年9月24日 1時) (
レス) id: 3180774200 (このIDを非表示/違反報告)
和音♪(プロフ) - こんにちは！いつもこの作品を楽しみにしています！HiHi Jetsのローラーがすごい生きていて、めっちゃ面白いです！これからも楽しみにしています！頑張ってください♪ (2019年9月22日 14時) (レス) id: b5f084be84 (このIDを非表示/違反報告)
れわ(プロフ) - ぽむさん» ぽむさん初めまして！コメントありがとうございます〜嬉しい言葉たくさんで泣きそうです！更新についてのご意見もありがとうございます！せっかくいただいたので、できるだけ更新頻度高めにできるようにしますね！ほんとうにありがとうございます！ (2019年9月21日 1時) (レス) id: 3180774200 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。いつも楽しく読ませていただいてます。こういう作品を待っていた！出会いたかったのはこれだ！という気持ちです。個人的には、更新頻度が高い方がいいかなあと思っていますが、れわさんのやりやすいようにして頂くのが1番ですかね。 (2019年9月18日 0時) (レス) id: ef5fa22271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れわ | 作成日時：2019年9月6日 2時
