19勝己のパーカー ページ19
電話越しで、私の様子がおかしいのに
すぐに気づいてくれたんだ…
心配してきてくれたんだ…
思いが溢れて、涙が止まらなくなって
勝己がかけてくれたパーカーをぎゅっと握りしめた
「うう…かつきぃ…っううっ…」
「ふざけんな泣くな」
乱暴な言葉使いだけど、
ポロポロこぼれ落ちる涙を優しくぬぐってくれた
「んんっ……ぐすっ…」
「…ガキ…」
「うるさいっ…ばかぁ……！」
うつむいていつまでも泣いていると、勝己は
わたしの腕を掴んで急に歩き出した
「…っ…え…どこいく…」
「うるせぇ黙ってろ」
言われた通り、黙って勝己に連れられ歩いた
ふと、勝己に掴まれていた腕が、
お互いの手を握り合っていることに気づく
わたしはもう片方の手で
かけてもらったパーカーが落ちないように握った
振り向かないでね、勝己…わたし、
今顔が真っ赤だ
「……公園…」
また公園…
少しの遊具とベンチだけの殺風景な家の近くの公園
月明かりと街灯だけがわたしと勝己を照らしている
自然と繋いだ手を離しどかっとベンチに座る勝己
「何突っ立ってんだよ」
「……あ、うん」
ちょこんと勝己の隣に座った
「……」
「……」
お互い何も喋らない……風の音だけが聞こえる…
涼しい…夜のいい匂い…微かに…勝己の匂い…
とても落ち着く匂い…ーー
「…何も聞かないの？」
「…聞いて欲しいのかよ」
「…ーーー」
「…落ち着くまでここにいりゃいーだろ」
そういって勝己は空を見上げてぼーっとしている
鼓動が脈打った…話す？死柄木弔のこと…
勝己に…
「……ヴィランに…」
「……」
勝己の顔を見ず、うつむいたまま
「ヴィランに襲われて…ーーー」
嘘をついた
「…は？」
「でも、逃げきれた…だから大丈夫だったけど
…怖かったから…ごめん…」
「……」
一切目を見ず、話しきった
勝己の視線を感じる…だけど、直視できない
「……怪我は…」
「！！」
意外な一言だった
「ないよ…」
「…そーか…ならいい…」
顔を上げ勝己を見ると目が合った
ちがう…そんな顔…しないで…
そんな哀しそうな顔…しないで…
「こわくなって…勝己の声が聞きたくて、
勝己の声を聞いたら安心して会いたくなって…
それで…」
ポンッ
っと優しく私の頭に手を置いてそのまま自分の胸に
引き寄せた
「かつ…き…」
「…うるせぇ…黙ってろ…」
暖かい勝己の身体…目をゆっくり閉じたら
また、一滴の涙がこぼれ落ちた
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シズク(プロフ) - きっこさん» きっこさんありがとうございます！(；；)続篇に移りましたが頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2018年7月26日 8時) (
レス) id: 6007a626ed (このIDを非表示/違反報告)
きっこ - 話の展開が気になりすぎてヤバいです！毎回更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年7月25日 18時) (レス) id: 18af6740d4 (このIDを非表示/違反報告)
シズク(プロフ) - おかさん» ご指摘ありがとうございます、以降、気をつけます…。 (2018年7月15日 23時) (レス) id: 6007a626ed (このIDを非表示/違反報告)
シズク(プロフ) - 琉唯さん» ありがとうございます！頑張って面白い話考えますので今後もよろしくお願いします！！(^O^) (2018年7月15日 23時) (レス) id: 6007a626ed (このIDを非表示/違反報告)
おか - ２１ページの緑谷が緑屋になってます (2018年7月15日 20時) (レス) id: 6bb468f785 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シズク | 作成日時：2018年6月30日 16時
