38.reveal。 ページ38
「ただいま戻りました。」
「ああ、おかえりなさい。」
こちらも振り向かずに書類を書き続ける母。
僕らは不安もあったが、意を決して家に足を踏み入れた。
その時に車椅子から杖に変えた音に違和感を覚えた母は初めてその作業している手を止め、こちらを向くと目を丸くさせた。
僕らは母に手紙を出したが、話がある、としか書かなかったから、僕が車椅子や杖で生活していることを知らなかったのだろう。
「セシル……。」
「お母様、セシルのことも含めて、話があります。」
母は顔を歪めたものの、僕らに座るよう促した。
そこから何時間も話した。
リドルがオーバーブロットしたこと。
ルールを守ることだけが全てでは無いと気がついたこと。
セシルがオーバーブロットしかけたこと。
セシルが抱えていた想いのこと。
リドルのセシルに対する想いのこと。
セシルのリドルに対する想いのこと。
お互いが傷つく様な事も言った。
でも、二人で決めたんだ。
ちゃんと全部話すんだって。
僕らがぶつかった事は間違ったことじゃなかった。
今僕らは、
『リドル・ローズハート』と
『セシル・ローズハート』は、
自分たちの意思で今ここにいて、自分たちの意思で母と話しているんだ。
「……少し1人にさせてちょうだい。」
視線を上げると、母は額に手を当て、自室へと戻っていた。
途端に二人とも力が抜ける。
「大丈夫だろうか…」
「まぁ、僕達話すっていう一つのことを成し遂げたんだからとりあえずじゃないかな。」
結果が分からないのに、自然と笑みがこぼれる。
あぁ、家でこんなふうに笑い合うのは初めてかもしれない。
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(名前)(プロフ) - あぁ…良い…でも見ていくうちにどんどんりどるのゲシュタルト崩壊が… (2023年1月25日 7時) (レス) @page8 id: 2e5d9e36c3 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 素晴らしかったです!!!!😭 (2022年9月19日 0時) (レス) @page42 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
♦nana♦ - とても最高でした! 私も、自分らしく自由にいていいと思うことができて、とても嬉しかったです!応援しています! (2022年1月1日 21時) (レス) @page42 id: 16b63c63b8 (このIDを非表示/違反報告)
シン - 神な作品ありがとうございます!!これからも応援してます! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 0fa80a0c97 (このIDを非表示/違反報告)
病葉 - いやぁ…あのリドルの悲痛の叫びを花江夏樹が…今をときめく鬼狩りの少年がよぎったのは気のせい? (2020年10月23日 22時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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