【ツイステ】赤の女王の片割れ【男主】

29.roseheart ページ29

「なんで、なんでっ…？」
「そんなの、セシルがボクの大切な家族だからに決まってるだろう！！？」

あれは僕の中の『リドル』という概念とばかり思っていたからもあるが、それ以上に、リドルがここにいては行けないと思った。

近寄るリドルを突き放す。

「……ッ帰って！！！」
「帰らない！！！」

ついにリドルの手が僕の腕を掴んだ。

黒い涙がポツリ、ポツリとこの黒い世界を広げるように落ちていく。

『わからない』

なんでリドルは僕を引き止めるの？

『分からない』

わかんないよ、ねぇ、リドル。

「一緒に帰ろう？ここにいる限り、セシルがユニーク魔法を使い切ってしまえば、キミは、オーバーブロットして命を落としてしまう。」

どうだっていいよそんなこと。

「僕……消えたいんだ。」

嘘じゃない。

苦しくて仕方ないんだ。

もう嫌なんだ全て。

『セシル』でありたいよそりゃ。


でもね。

『リドル』でもありたいよ僕。

『セシル』でいる辛さと『リドル』でいる辛さ。

『セシル』であることの周りの幸せと『リドル』であることの周りの幸せ。


比べるまでもないんだから。

「僕にはっ、リドルしかいないのに…リドルが絶対でリドルが僕の法律(ルール)で僕の女王様(クイーン)なんだ！！」

「そんな事ない！！」

リドルが僕を引っぱたいた。

初めての事に目を丸くさせる。

リドルが僕に手を上げることは無かったのに。


やっぱり『リドル』も『リドル紛いのセシル』なんていらないよね。

嬉しいのか悲しいのかよく分からないごちゃごちゃとした感情が胸を締め付けているのに、苦しくて仕方ないのに笑みがこぼれる。

それをリドルはキッと睨み付けてきた。

「誰がなんと言おうが、世界中の人がキミを否定しようが！キミはボクの大切な双子で！！僕の大事な人で！！それが『セシル・ローズハート』だ！」

「強くなくちゃいけないなんて間違ってる！！！ボクにだって、セシルにだって、楽しいとかはもちろん、痛いともわかる心があるんだっ！！『セシル』は『セシル』なんだよ！！自分までも否定してはいけないよ！！！」

黒い世界に1粒。

たった1粒の涙が落ちる。

黒を白く塗りつぶすこのように広がっていき、やがて世界は白となった。

その中にある２つの赤く塗られたバラは、やがて光に包み込まれた。

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