20.paranoia ページ20
「にしてもセシル君が質問なんて珍しいッスね。」
「元々動物言語学は苦手な方なんだ。」
「なるほどッス。」
僕も少しずつ変わらなくては、と思い、勇気をだしてラギーに勉強を教えて欲しいと頼み込むとあっさりと承諾してくれたので、僕は放課後、ラギーに動物言語学を教えてもらうことになっていた。
同じクラスということでラギーとはまだ仲がいい方だと勝手に思っている。
あれやこれやと教えてもらううちに話が弾んでいた時、それは唐突にやってきた。
「たのも〜!ラギー・ブッチはどこなんだゾ!」
声をした方を向くと、そこにはリドル、ケイト先輩、グリム、監督生が居た。
そういえば、最近選手候補の人達の怪我が相次いでいる件の調査をすると言ってココ最近は1人で寮に戻っていたな、と思い出した。
「うぃーッス。……って、また君らッスか。何度言われてもデラックスメンチカツサンドはもう返せないッスよ〜。それに今、セシル君と勉強してるんスけど。」
「ラギー・ブッチ。今学園内で起こっている選手候補連続傷害事件について聞きたいことがある。」
リドルのその発言にラギーは顔をほんの少し、歪めた。
「おぉっと…そいつぁ穏やかな話題じゃなさそーッスね。」
「ちょーっと表に出てくんない?」
「分かったッスよ。だから、乱暴な真似はやめて欲しいッス。」
どういう目的かは分からないが、そのまま勉強道具を持って僕も着いてくるようにラギーは促す。
断る理由もないし、気になったので着いていく。
「勉強中に巻き込んでしまってすまない。」
「いいよ、別に。リドルも大変だろうし。」
リドルは凄いな。
でも
『僕にも頼ってくれてもいいのに』
自分ってなんてめんどくさいんだろうな。
訳の分からない感情ばかりが込み上げてくる。
何も知らない、この件に関わってない自分が惨めで、頼られてない自分にイラついて、酷く嫉妬する。
なんて悲劇のヒロインじみた考えなんだろうか。
被害妄想が過ぎると自分でもわかってはいるが、思いは止まらない。
そんな自分なんて
『消えてしまえばいいのに』
そんな思いをやっとの思いで止めて、ラギーの後をついていった。
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(名前)(プロフ) - あぁ…良い…でも見ていくうちにどんどんりどるのゲシュタルト崩壊が… (2023年1月25日 7時) (レス) @page8 id: 2e5d9e36c3 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 素晴らしかったです!!!!😭 (2022年9月19日 0時) (レス) @page42 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
♦nana♦ - とても最高でした! 私も、自分らしく自由にいていいと思うことができて、とても嬉しかったです!応援しています! (2022年1月1日 21時) (レス) @page42 id: 16b63c63b8 (このIDを非表示/違反報告)
シン - 神な作品ありがとうございます!!これからも応援してます! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 0fa80a0c97 (このIDを非表示/違反報告)
病葉 - いやぁ…あのリドルの悲痛の叫びを花江夏樹が…今をときめく鬼狩りの少年がよぎったのは気のせい? (2020年10月23日 22時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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