17.sleep。 ページ17
駆け込んだ教室の隅で涙が止まらず、しばらく泣いていたが、いつの間にか泣き疲れて寝ていたらしい。
もうすっかり夕方だった。
今日が午前授業でなければ完全に怒られていただろう。
「あれ…シルバー…？」
何か肩が重いと思えば隣ではシルバーが寝ている。
すやすやと心地良さそうに寝ているのを起こすのは少し気が重いが、揺さぶってシルバーを起こす。
「なんでここに…？」
「セシルが寝ているのが見えたから。うなされていたが大丈夫か？」
シルバーはうなされていたから起こそうとしたがその前に自分も眠くなって寝てしまったと話した。
シルバーらしいと言えばシルバーらしい。
「ちょっと、最近…では無いけれど思い詰めてて。」
「そうか。」
沈黙が続く。
シルバーがそれ以上何かを聞くことはなかった。
シルバーなりの配慮だろう。
「何も聞かないのかい？」
「聞いても答えられないだろう。そんな気がする。」
間違ってはいない。
この気持ちを伝えてしまったら嘲笑われるかもしれないし、伝えたところでなにか変わるわけでもないと何年も誰にも話していない。
シルバーがそんなことをする人だとは思わないが、打ち明けることはきっと出来ないだろう。
「セシルは、きっとリドルの事で悩んでるんだと思うが、自分なりに答えを見つけるといい。」
『セシルはセシルだ。』
今日2度目の言葉だ。
僕はすごく単純なのだろう。
沈んでいた心がまたぷかぷかと幸せで満ちて浮き上がっていく。
そして何より
『僕』と『リドル』
がはっきり違うと思っていてくれることがこの上なく嬉しかった。
『僕』
と
『リドル』
「ありがとう、シルバー。」
なんだかリドルに会いたい気分だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2243人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(名前)(プロフ) - あぁ…良い…でも見ていくうちにどんどんりどるのゲシュタルト崩壊が… (2023年1月25日 7時) (
レス) @page8 id: 2e5d9e36c3 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 素晴らしかったです！！！！😭 (2022年9月19日 0時) (レス) @page42 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
♦nana♦ - とても最高でした！ 私も、自分らしく自由にいていいと思うことができて、とても嬉しかったです！応援しています！ (2022年1月1日 21時) (レス) @page42 id: 16b63c63b8 (このIDを非表示/違反報告)
シン - 神な作品ありがとうございます！！これからも応援してます！ (2021年5月29日 10時) (レス) id: 0fa80a0c97 (このIDを非表示/違反報告)
病葉 - いやぁ…あのリドルの悲痛の叫びを花江夏樹が…今をときめく鬼狩りの少年がよぎったのは気のせい？ (2020年10月23日 22時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
