14.lunch。 ページ14
「あれぇ、金魚ちゃんじゃーん。」
「おや、リドルさんとセシルさん。また一緒に昼食を取り始めたのですね。」
「またって、いつもフロイドが邪魔してくるから一緒に食べれなかったんだ…!!」
食堂までリドルと二人歩いていると、目の前から現れたのはオクタヴィネルの双子、フロイドとジェイドだった。
フロイドは相変わらず、僕のことを視界に入れない。
リドルはそれが気に入らないのか普段にもましてフロイドに怒りを向けている。
フロイドが僕を嫌うのは初めからだった。
それももう慣れている。
むしろフロイドくらい、僕を無視してくれた方がありがたかった。
それが
「ところでセシルさん。」
「ん?」
「僕と一緒に昼食をとりませんか?」
今、ジェイドは何を言っているのだろうか。
僕だけじゃない。
フロイドやリドルも目を点にしている。
「はぁ?ジェイド、どーゆーつもりだよ。」
「いえ、そういう気分でしたので。」
フロイドはかなりイラついている。
それが怖かったのもあるが、ジェイドの真意が僕にはわからなかった。
「ご、ごめん。今日はリドルと食べたいんだ。」
そう答えると、それに反応したのはジェイドではなくその片割れ、フロイドであった。
今まで見すらもしなかったフロイドの目は僕を捉えている。
「あは、おもしれーじゃん。やっぱ辞めた!金魚ちゃん、こいつ貰っていい?」
「フロイド!!セシルは僕と昼食を取るんだ!!!」
もう本当に訳が分からない。
何故ジェイドは僕を昼食に誘ったの?
何故フロイドは急に僕に興味を示したの?
この双子は本当によく分からない。
ただ、僕の中でこの二人は羨ましかった。
双子として。
今、僕はリドルと、彼らのように、個人として、双子であれているのだろうか。
「金魚ちゃんのコピーみたいな感じでずっと気持ち悪いと思ってたけど、なぁんだ、おもしれーじゃん。金魚ちゃん、じゃかぶるしなぁ。うーん。ユカタハタちゃん!」
『金魚ちゃんのコピー』
フロイドの目にはそう映っていたのか。
心がいたんだものの、面白い、ということは今のフロイドの目には僕は僕として映っているのだろうか。
なんだか、嬉しかった。
「み、みんなでご飯食べるのはどうかな?」
「それはいい案だ。それでは食堂に行きましょうか。」
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(名前)(プロフ) - あぁ…良い…でも見ていくうちにどんどんりどるのゲシュタルト崩壊が… (2023年1月25日 7時) (レス) @page8 id: 2e5d9e36c3 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 素晴らしかったです!!!!😭 (2022年9月19日 0時) (レス) @page42 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
♦nana♦ - とても最高でした! 私も、自分らしく自由にいていいと思うことができて、とても嬉しかったです!応援しています! (2022年1月1日 21時) (レス) @page42 id: 16b63c63b8 (このIDを非表示/違反報告)
シン - 神な作品ありがとうございます!!これからも応援してます! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 0fa80a0c97 (このIDを非表示/違反報告)
病葉 - いやぁ…あのリドルの悲痛の叫びを花江夏樹が…今をときめく鬼狩りの少年がよぎったのは気のせい? (2020年10月23日 22時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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