11.disappear ページ11
目が覚めた時、真っ先に映ったのは泣きじゃくるリドルと、その周りにいるみんなだった。
骨が折れているのだろうか、殴られた横腹が痛む。
痛むのは横腹だけではない。
痛い。
心臓の辺りがキュッと痛む。
気持ち悪い痛みだ。
こんなにも容姿は似ているのに、僕はリドルにはなれない。
『いらない』
まるでそう言われているようで苦しくて仕方がなかった。
「セシル…っセシルはどこ…!?」
医務室へ行くためにトレイ先輩に支えられて立ち上がったリドルは当たりをキョロキョロと見渡す。
あぁ、優しいね、リドルは。
でも、その優しさが、僕は苦しかった。
見つからないように木の陰に隠れた後、痛む横腹を押さえながらバレないように寮へと戻る。
今は、誰にも会いたくなかった。
リドルに面と向かって会いたくなかった。
会ってしまったら絶対傷つけてしまう。
「リドルなんて居なければよかったのに…」
そうしたらこんな思いもしなかったのに。
ずっと胸の奥にしまっていた言葉を遂に声に出してしまう。
「ははは、僕、最低だ……。」
部屋に着くなり、僕は服も脱がずにベットに突っ伏す。
「僕が、居なくなればいいのにね。」
『ごめんね、リドル。』
本当に口に出すべきその言葉を出す勇気など、僕には無かった。
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(名前)(プロフ) - あぁ…良い…でも見ていくうちにどんどんりどるのゲシュタルト崩壊が… (2023年1月25日 7時) (レス) @page8 id: 2e5d9e36c3 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 素晴らしかったです!!!!😭 (2022年9月19日 0時) (レス) @page42 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
♦nana♦ - とても最高でした! 私も、自分らしく自由にいていいと思うことができて、とても嬉しかったです!応援しています! (2022年1月1日 21時) (レス) @page42 id: 16b63c63b8 (このIDを非表示/違反報告)
シン - 神な作品ありがとうございます!!これからも応援してます! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 0fa80a0c97 (このIDを非表示/違反報告)
病葉 - いやぁ…あのリドルの悲痛の叫びを花江夏樹が…今をときめく鬼狩りの少年がよぎったのは気のせい? (2020年10月23日 22時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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