170話 ページ23
明side
「あ!惣助おかえり〜!」
片付けがようやく終わって少しばかり休憩をしていれば、ちょうど惣助が帰ってきた。
手を振ると不満そうな顔をしたまま飛びついてくる。
あまりの勢いに耐えれなくて地面に転がり「いててて」と苦言を零すと、惣助が「源くんがひどい」と訴えかけてきた。
「どーしたの〜?意地悪された〜?」
「....椅子に縛り付けて、俺の言うこと聞きやがれ!って脅されて....僕っ、怖くて...」
グスングスンとわざとらしく泣き真似をする惣助の頭を撫でて「そっか〜」と言っていると、横尾と佐藤が近づいてきた。
「二人共〜、そろそろ天体観測の準備始めるって〜」
「イチャついてないで早く行くよ」
「はぁーい!じゃあ引っ付いて離れない惣助どーにかして〜」
「いやなんで惣助明に引っ付いてるの〜?」
「だって源くんに虐められたんだもん」
「ハイハイ、また煽ったんでしょ。それより早く退かなきゃ怒られるよ」
横尾と佐藤に同意するようにペシペシと惣助の頭を叩けば、渋々と言ったように退いてくれた。
そんな彼に苦笑しながらも、横尾が伸ばしてくれていた手に捕まって立ち上がる。
「ほんと明は腕の力ないね〜。腕力だけ赤ちゃんの頃で止まった?」
「赤ちゃんよりは絶対強いから〜!」
「赤ちゃんと腕相撲したらいい勝負しそう」
「それはそう」
「なんなのさみんな〜」
皆から謎の弄りが始まり頬を膨らませる。
そんな私のほっぺたを、惣助が無遠慮にぶっ刺した。
地味に感じる痛さに悶えながら、惣助と2人で機材を運んでいく。
しかし途中で、惣助はあまね先輩に機材の確認をしに行ってしまった。
彼が行ってしまったことにより運び辛くなった機材の前に立ち、ゴクリと固唾を飲み込む。
両手に目一杯力をいれ、機材を勢いのまま持ち上げる。
「ふぅ...うぅ...むむ...!ぐっ」
持ち上げる
「んんっ...ふむぅ....ぐぅ...」
持ち上げる....
「ん!...よっ..はぁ....」
持ち上げ......る...?
「もーいっかい....」
「いやもういいよ!!」

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作者名:こーひー | 作成日時:2025年1月17日 23時