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162話 ページ15

セミの鳴き声が鳴り響く中、私は目当ての人物を見つけて走り出した。


「光くん!」

「先輩!!」


がしりと勢いのまま握手をした後、「花子くんって幽霊よね...!?」と小声で言えば、向こうも同じタイミングで「ミツバって幽霊っすよね...!?」と言ってくれた。
二人で安心から握手していた手をブンブンと振り回す。
そんな私たちを他所に、みんなが準備を始め出した。
サボるようで少し申し訳なく思いながらも、私達はそこら辺に座り込んで情報共有を始める。


「おかしいのよ!花子くんのことみんなクラスメイトだと思ってて...」

「こっちはミツバのこと...それに、何故かつかさとか言う奴の所に行ったはずの明まで居て...」

「やっぱり!?聞いた時からおかしいと思ってたのよ...」


こそこそと小声で話しながら冷や汗をかいていると、突然黙った光くんがぽつりと小さく呟いた。


「...でもこれって、もしかしてオレたちの方がおかしいんですかね。」

「え?」

「や...その、ホント...当然みたいにアイツ”生徒”やってて...明も居なくなってなくて...もしかして最初からこうだったんじゃ...その方がいいんじゃ...なんて...」

「光くん...」


彼の言わんとしていることが何となくわかってしまって、同調するように頷いた。
そんなことをしていれば、私達ではない他の人の影が地面に移り、その直後に私と光くんの頭に冷たい水が降り注ぐ。
いきなりのことで「ぎょっ」と変な声を出てしまい、少しばかりの羞恥心が体を襲った。
それを気にせず水をかけた本人を見ようと上を向くが、水が目に入ってしまいよく見えない。


「なっ、なんだ!何事だ!?」

「冷たっ。水...。花子くん!?」


視界が晴れた先にいたのは、イタズラっ子のような笑みを浮かべてタオルを差し出している花.....あまねくんだった。


「サボってるからセーサイだよ」

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作者名:こーひー | 作成日時:2025年1月17日 23時

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