空と海の交わる曇天 ページ13
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ふと、顔を上げれば、医務室の文字。
そっと、利き手で扉に手を掛けようとした、その瞬間、
sn「…やあ。」
扉は開き、薄水色は目の前で優しく笑った。
本当、この軍は察しが早い奴等ばかりで困る。
…いや、あかんな。
彼奴らは、絶対途中で耐えられなくなる。
そうだ、だから、俺がやらないといけないんだ。
これは救済なのだ。
じゃないと、俺は何の為に心を捨てたのか、何の為に愛を捨てたのか、
分からなくなってしまう。
sn「ほら、ぼーっとしとらんと、中入り。」
kn「…ああ。そうするわ。」
手を扇ぎ、医務室の中へと案内する彼に頷き、そっと足を踏み入れば扉の鍵を閉める。
…どうやら、施錠という動作に疑問は持たれなかったらしい。
諦めてしまったのか。
だとしたら、俺が諦めさせてしまったのか。
……。
ごめんな。
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sn side
そんな血臭にまみれて、今更何を隠そうと言うのか。
まあ、何でも良いさ。
彼を中へ招き入れようと部屋の中心へと向き直ると、後ろで扉の鍵を閉められたような音が聞こえた。
だが、それにより閉じ込められるのは俺だけではない。
鍵に手を掛けた彼も、状況は俺と変わらない。
…ならば、攻撃を先制した方が勝ちとなる。
懐から、普段は一切使わないハンドガンを取り出し、彼に向かって構える。
kn「…で、何のつもりや。」
しかし、空色は困惑の色さえ見せず、落ち着いた声色を発し、俺を見据えていた。
…なんだ、ここまで想定内というか。
だから何だと言う話だ。
此方が優位なのに変わりはない。
sn「仇討ちとでも言えばええか?」
純朴な彼等は、
信じた空に全てを奪われてしまったのだ。
嗚呼、可哀想に。
kn「…はは、それ本心から言っとる?」
sn「当然」
濁った曇天は、腰に手を当て、此方を嘲笑うかのように薄笑いを浮かべている。
だが、そんな挑発に乗る程ちょろくはない。
仲間が被害を被れば、それ相応の復讐をするものなのだと、
本にもあった、ゲームにもあった、映画にもあった。
それが世間の常識なのだから、その通りにする。
そうする事の何が問題なのか。
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らっぴょこさん(プロフ) - あ、好き。ヤバイ。神。(←語彙力消失)応援してます〜! (2020年10月4日 14時) (レス) id: c590781f3e (このIDを非表示/違反報告)
桜石 花見(プロフ) - ひなひなひなひなさん» ありがとうございます!!!返信が大変送れてしまい、申し訳ありません………未だこの小説を覚えていてくださるのでしたら、応援していただけると嬉しいです……! (2020年9月18日 5時) (レス) id: 9ba6cca84f (このIDを非表示/違反報告)
ひなひなひなひな - ↓追記がんばって下さい! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2e0228b2c8 (このIDを非表示/違反報告)
ひなひなひなひな - 桜石 花見さん» ああああ好きいい!もう,,うん()もう更新全裸待機します! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2e0228b2c8 (このIDを非表示/違反報告)
桜石 花見(プロフ) - すややさん» プロローグが割とほのぼのしてるので……… ( 今気付いたけど(( ) ありがとうございます!!オチは決まっているのですが、中間の描写諸々が……… (ただの言い訳) (2020年5月17日 23時) (レス) id: 8e99c8eed5 (このIDを非表示/違反報告)
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