12日目 ページ13
やばい。やばいやばいとてもやばい。
素性もしれぬ人にビンタをかましてしまった。
最悪命を奪われるかもしれない。
そんな考えが過ぎったが、どうせなら全部言ってやろうと派手髪男の胸ぐらを掴んで睨みつける。
「すいません。先程から失礼な態度でしたので腹が立ちました。とりあえず床、拭いてください。」
と言うと、男は口角をヒクヒク動かし負けじと私を睨む。
「んだてめぇ……俺が誰だか分かって言ってのか。
俺は……」
「いいから拭けって言ってんだよ。早くしろノロマ。……話はその後です。」
昔、万次郎が部下に言ってた言葉をそのまま声音も似せて言ってみた。私がタオルを男に押し付けると、
効果抜群だったのかいそいそと床を拭き始めた。
せっかくのお高いコーヒーが台無しだ。
これで最後のひとつだったのに。
「なあ……」
床を拭き終わったらしい男がさっきとは打って変わって静かに口を開く。
「なんですか？」
私は彼の目線に合わせてしゃがみ込んだ。
彼は目線を何回かそらし、私の目を恐る恐る見て
「その、コーヒー代、弁償する、から……。」
まるで叱られた猫のような態度を取る男。
彼の頬はうっすらと赤くなっていて痛そうだ。
思いっきりぶっちゃったもんね。
「別に、謝ってくれればいいですよ。
あと名前教えてください。」
そう言うと彼は口をパクパクして、俯く。
プライドと罪悪感が天秤にかけられいるのだろう。
「……悪かった。」
罪悪感が勝ったのか彼はすごい小声で言った。
怒られたあとの子供のような表情の彼を見て私はクスリと笑う。単純な私はこれだけで大抵の事は水に流せる。
「俺は三途春千夜だ。」
軽い自己紹介が終わったあと沈黙が続く。
私は両手をパンと叩き、立ち上がる。
「そうだ、三途君。ご飯食べていきなよ。
聞きたいことも沢山あるしさ、私ご飯まだなんだよねぇ。」
「いらねェ……。」
そう言った瞬間、彼のお腹はグゥと鳴った。
お腹は空いているが、大方口元を見られたくないのだろう。
先程ちらりと見えた三途君の口元には傷があった。
そのことを気にしているのだろうか。
私は、もう1回彼の目線に合わせるようにしゃがんだ。
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雪ん子(プロフ) - 最高です！！ってことは最終話軸？最終話時空の話見るの初めてなので何だか新鮮でした！！ (7月23日 11時) (
レス) @page30 id: fa924563b5 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 瀬琉ﾁｬﾝ.さん» コメントありがとうございます。そう言って貰えて光栄です……！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
瀬琉ﾁｬﾝ. - とても深いストーリーに感動しました...!! 本誌の内容が良い感じに組み込まれつつハッピーエンドで完結できる作者さんの文才うらやましいです((( (2022年8月2日 23時) (レス) id: e12b8018fd (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 七瀬太さん» コメントありがとうございます！私もとても楽しみにしています！ (2022年7月30日 16時) (レス) id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬太 - すごい泣ける🥹公式？の方の最新刊も本当に楽しみです！ (2022年7月25日 16時) (レス) @page30 id: 320abee8c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずぴす | 作成日時：2021年9月24日 9時
