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6話 ページ7

植物園に行くと入口付近にレオナが立っていた。
静かに俺を見つめている。






「こちとら聞きたいことが沢山あるんでなあ、俺の部屋に行くぞ。」






「レオナの部屋って寮長室か?」






俺がそう聞くと嗚呼と返ってくる。
なら場所はわかる。
俺はレオナの腕を掴み無詠唱で魔法陣を展開する。






「無詠唱……?!おいまさか」






「では、レオナの部屋までごあんなーい。」






俺がそう言うと二人は光に包まれ、次の瞬間には
レオナの部屋にいた。






「おー、割と綺麗じゃん。俺は散らかしてばかりだったなあ。」






「どういうことだ。」






「俺、ここの元寮長。」






そう言うとレオナはポカンとする。
まあ、そのころには追い出されてたし王家に俺の情報が入ることは無いだろう。






「ほら、俺に聞きたいことあるんじゃないのか?」






近くにあったソファに腰掛け俺は尋ねる。
レオナはしばらく黙り込み、静かに口を開いた。






「……なんで急に居なくなった。」







レオナは俺が勘当された理由を知らない。
俯いてるレオナの顔を覗くとすごく幼い表情をしていた。






「お前は知らなくていいよ。
でも、俺がいなくなったことによってお前の王位継承権が繰り上がった。良かったじゃないか。」






へらっと笑ってそう言うと、思い切り頬を殴られる。
普通に痛い。






「そういうことじゃ、無ぇんだよ!
俺がどんな思いで……!」







レオナを見ると降ろされた拳は震えていて、
下唇を噛んでいた。
俺はすかさずレオナを抱きしめる。






「ごめんな……。」






レオナは泣きも叫びもせず、静かに俺にされるがままだった。






「Aがいなくなったあと、王家の視線は全部俺に行った。毎日一番になんかなれやしないのに、圧力と雰囲気で吐きそうだった……でも」






お前が居ないことが一番嫌だった。







静かに放たれた最後の言葉は俺の心に深く刺さった。
レオナの耳はペショっと垂れており、尻尾は俺を離さない。罪悪感が残る。






「寂しい思いさせてごめんな。
今日は兄ちゃんと一緒にいような。」





二十歳と言えど俺の弟だ。
幼い頃からガキ扱いするなと拒んでいたレオナもこの日だけは静かだった。

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(プロフ) - 続きが速く見たいです! (2023年2月11日 16時) (レス) @page30 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 洸さん» 返信遅くなってすみません……!そう言って頂けて本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月31日 15時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
- えっちょ、は?神か?神だな?貴方は神だな?誇張じゃなく神だな?神ですね?え、今まで見た中で最高ですよコレ。更新待機しますよマジで。 (2022年4月23日 21時) (レス) @page27 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 舞さん» 返信遅くなり申し訳ございません……ありがとうございます! (2021年11月17日 19時) (レス) id: bc678a6855 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年11月7日 2時) (レス) @page24 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2021年8月21日 5時

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