19話 ページ20
静寂だった暗闇がより静けさを増す。
風で学園の窓が勢いよく開き、冷たい風が廊下に吹き込んだ。
「あのー、拙者もしかして地雷踏みましたか……?
顔が怖いですぞ……。」
黙り込む俺の顔を覗き込むように恐る恐る聞いてくる目の前のやつ。我にふりかえり表情をパッと明るくする。
「よーし、とりあえずこっちに来い。」
俺は一気に少年に詰め寄り、腕を引っ張って仮眠室へ誘導。ここでは誰が聞いてるか分からないからな。
少年は小さく悲鳴をあげ、ブツブツと何かを呟いていた。
「君、名前は?」
仮眠室につき、俺はまず1番聞きたいことを聞いた。
俺の情報を知っているなんて、どこの王族だ。
「イデア……シュラウドでござる。」
イデアと名乗った少年はビクビクした様子でこちらを伺っていた。隣にいたロボットの子はいつのまにかいなくなっていた。きっと帰らせたのだろう。
名前よりもラストネームには聞き覚えがあるぞ。
シュラウド家と言ったら名家じゃないか。
そりゃ機密情報も扱っているわ。
壁にもたれかかったまま、ズルズルと座り込む。
「イデア、このことは誰にも言わないでくれ……。
俺の居場所が無くなる。それに、俺は勘当された身でな。もう第二王子じゃないんだ。」
そう言うと驚いたような顔をして、ぺこりと頭を下げた。
「すすすすいません。何せ実家にはしばらく帰って無いもので……新しい情報は知らないのでござる。」
イデアは一息着いて、俺の顔をちらちら見ながら口を開く。
「それだけ言われたら、誰にも言いませんよ……。
何せ拙者引きこもりですしおすし?学園の地に足をつけるのもレアですぞ。」
引きこもり。だから俺の存在を知らないのか。
見た感じいい子そうだし、とりあえず安心だ。
しかしそれじゃあ俺の気が済まない。
弱みを握られたんだ。秘密は共有するものだろ……?
「イデア。明日の放課後、君の部屋に遊びに行くよ。部屋片付けとけよー。」
反論するイデアを背に俺は歩き出す。
正直眠気が今襲ってきてとても眠いんだ。
部屋に戻って寝よう。
廊下の窓からは月明かりが差し込んでいた。
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零(プロフ) - 続きが速く見たいです! (2023年2月11日 16時) (レス) @page30 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 洸さん» 返信遅くなってすみません……!そう言って頂けて本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月31日 15時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
洸 - えっちょ、は?神か?神だな?貴方は神だな?誇張じゃなく神だな?神ですね?え、今まで見た中で最高ですよコレ。更新待機しますよマジで。 (2022年4月23日 21時) (レス) @page27 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 舞さん» 返信遅くなり申し訳ございません……ありがとうございます! (2021年11月17日 19時) (レス) id: bc678a6855 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年11月7日 2時) (レス) @page24 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2021年8月21日 5時