羽が2枚 ページ4
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……は？どうしてこうなった？
Aの頭を占めるのは、疑問。そして、人を待たせているからこその焦りと申し訳なさ。
『て言うかあなたたち……誰？』
冷静に二人に問う。早く帰りたかった。いきなり声をかけてきた坊主頭とチビは、Aにはヤンキーにしか見えなかった。
｢俺は西谷夕だ！そして……｣
｢田中龍之介だ！｣
｢｢せーの、お願いシャースッ!!｣｣
何を頼んできたのか、主語がなかった。コイツら馬鹿なの？いかにも馬鹿っぽい…と、ついAは思ってしまった。
｢実は、愛しの潔子さんが、あの潔子さんが、インフルにかかってしまったんだ！｣
｢そこでだ！潔子さん不在の約１週間、臨時でいい！臨時でいいからマネージャーをやってくれないか!?｣
Aは、心の中でツッコミを入れながら話を聞くだけ聞く。顔も知らない、「潔子さん」の代わりを求められていることは理解できた。大きな声で必死に
｢頼む！今の時期は忙しいんだ!!｣
｢勿論潔子さんの仕事を代わりにしたい！｣
｢だがしかし！マネージャーの仕事は大変だ！｣
｢仕事をしたいが時間を少しでも練習にあてたいんだ!!｣
｢｢頼む！お願いします!!このとおり!!｣｣
そう言って頭を下げる田中の西谷。いかにも運動部のような見た目から、マネージャー依頼なのは予想がついた。ただ、Aは断ろうと思っていたのだ。理由はめんどくさそうだから。人に頭を下げなさそうな2人が頭を下げている。この状況が、なおさら断りにくくさせていた。
部活の時間の最中の言うことで、周りに他の人がいるわけではない。が、頭を下げている人の願いを断れるほど、Aは強くない。
そうなると、必然的に答えは一択に絞られてくるワケで。
『……分かった。やるよ』
｢何っ!?｣
｢それは……それは本当か!?｣
思いがけない収穫だったのだろうか。バッと頭を上げた二人は、興奮気味に反応する。その様子に、Aはうるさいなぁ、と思いながらも、言葉を続けた。
『でも今日は無理』
｢ああ、構わん!!やったぞ、龍！｣
｢やったな！ノヤっさん！｣
｢早速大地さんに報告だ!!｣
｢おう！合点だぜ!!｣
会話の中で、Aは、なにか、嫌な予感を感じていた。
『………ちなみに何部？』
｢｢バレー部!!｣｣
Aの予感は的中した。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2021年7月29日 15時
