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「ならさ、」
あっ、ちゃんと話聞いてくれてたんや……
それはそれで恥ずかしいけど。
「俺、幸せになる方法一個知ってるで」
「えっ!何?!」
「Aがちゃんと彼氏さんと別れてるならおすすめ」
「別れてます別れてます!」
幸せになる方法、なんて今のうちが1番聞きたいこと。
「それはな……」
「うん、」
思わずゴクリと唾を呑み込む。
「キスすること」
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「き、キス?!」
思いがけない単語に、ここが居酒屋だと言うのも忘れて叫んでしまう。
「ちょっ、A?声おっきいって」
「わっごめん」
幸い周りのお客さんもいい具合に酔いが回ってきたのか、私たちのことを気に留める人はほぼおらんかった。
「キスすること、って……そもそもキスする相手がいなくなったんやで」
「いるやん」
「どこにぃ」
「ここに!」
「ここにはこーじしかおらんけど」
「やから、
俺がキスする相手になろうか?って言うてんの」
「……はい?」
本気で言ってる?
思わず穴が開くほど康二の顔を見つめてしまう。
こーじ良い人やけどたまに常識紛失するからな……
「あ、今ちょっとバカにしたやろ?!
……けどキスしたら幸せになるのはほんまなんやで。阿部ちゃんが言ってた」
「誰やねん阿部ちゃんって」
「あぁ俺の友達。理系でめっちゃ頭良いねん。
その阿部ちゃんいわく、キスしたらなんたらかんたらっていうホルモンが出て、幸せを感じられるんやって」
「はぁ……よく分からんけど、科学的な話ではあるんや」
「そう。で、そのホルモンは俗に“幸せホルモン”って呼ばれてるんやって!
やから、幸せになりたいならとりあえず俺とキスしいひん?ってこと……」
自分で言い出したのに言葉尻がしぼんでいく康二。
……キスしいひん?なんて
普通なら“何言ってんの!”って一蹴するような提案。
シラフの時に言われたらもはや聞いてないフリを貫いてたかもしれん。
やけど、
そんな提案をばっさり斬れないほど参ってもいた。
その上私はアルコールという、悪魔にも天使にもなりうるものに支配されていた。
確かに、キスした時って幸せな気持ちになってるかもしれん……
と短絡的な考えが頭に浮かぶ。
「こーじ」
「……」
怖々と目を合わせてくる康二。
「しよ、キス」
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レイ(プロフ) - やいさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！もう少しペースを上げて更新していくので、お付き合い頂ければ嬉しいです。 (2021年4月30日 23時) (
レス) id: 836a209a6b (このIDを非表示/違反報告)
やい - 素敵なお話すぎて続きめちゃくちゃ気になります…！ (2021年4月30日 1時) (レス) id: cf87cebb1a (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 名無し63259号さん» ありがとうございます！ちゃんとスー頂きました(笑) (2021年3月15日 23時) (レス) id: 74aabe9229 (このIDを非表示/違反報告)
名無し63259号(プロフ) - さいこうです！更新頑張ってください！スーをさしあげます！！ (2021年3月10日 8時) (レス) id: d883dc3306 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春 | 作成日時：2021年3月8日 1時
