二十六羽目 ページ31
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ふと不思議な感覚を覚えて目が覚めた。
天井も床も真っ白な知っているようで知らない場所。
どこかに似ている……嗚呼、森さんに連れてこられる医務室によく似てるんだ。
おかしいな風邪がぶり返すことはないって診察されたのに、なんでここにいるんだろう
キョロキョロと見渡しているとあることに気づいた。
「ここ、ポートマフィアじゃない……?」
よく見ると設備が全然違うし、見たことも無い薬品も棚に置いてある。誘拐?いやまさか、私は座敷牢で眠っていたはずなのにどうして?
とりあえず、ここから出よう!
走って扉に向かい勢いよく開ける。
すると何かに扉が強くぶつかった感覚と、誰かが転ぶ音、そして叫ぶ声が聞こえた
「いったた……ちょっとA!もう少しゆっくり、開けて……よね……」
「……太宰?」
目の前には額を抑えながら尻もちをついている太宰……らしき人。私の知っている太宰よりもうんと背が高くて、服装も真っ黒とは程遠い。
そう、それはまるで私たちの友人織田作之助のような……
「A!」
「わっ!……太宰なの?」
「うん、私は太宰、太宰治だよ!」
そう言って苦しいくらいに私を抱きしめる太宰、というか自称太宰。試しに異能をちょーっとだけ、本当は怒られちゃうけど使ってみた
でも氷どころか、冷気が出ることさえなかった。
異能力の無効化を持っている人間は太宰ただ1人のはず、欧米のどこを探してもいないと森さんが言っていた
「異能が使えないや。……太宰、大きくなった?」
「……うん、大きくなってしまったんだ。もうAの顔を見て抱きしめることが出来なくなるほどに」
そう言って太宰は私の顔を優しく撫でる、あまりにも優しい触り方だから擽ったいくらいだ。
精一杯背伸びをして私も太宰の顔に手を伸ばす。
手袋越しだが手の冷たさは分かるようで、相変わらず冷たいねと太宰は笑った
でも、その表情が真実とは思えなくて。
「……泣いてるの?」
「……いいや、でも嬉しくて泣いてしまいそうだよ」
そう言って再度私を強く抱きしめた。
変な体勢で抱きしめられたせいで手は太宰の胸元にある、でも心音が近くに感じられて物凄く安心する。
私が眠れない時よく心臓の音を聞かせてくれたなぁ。
そうして暫く抱きしめあっていると、太宰の後頭部に本が飛んできた。分厚い本でしかも角
ガツンっ!という音とともに大きく揺れる太宰の体。
驚き心配していると、金髪でメガネをかけた人が怒号を浴びせた
「だ、太宰貴様ー!!職場で一体何をしている!!!!!」
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七巳流 - 太宰さぁー〜ーーーん (2022年7月10日 16時) (レス) @page34 id: 910d5180ae (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - Юрияさん» コメントありがとうございます!期待に答えられるように頑張ります! (2019年4月29日 19時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
Юрия(プロフ) - とても面白いです!此れからも、更新楽しみにしてます!更新、頑張ってください! (2019年3月17日 23時) (レス) id: f4565d370d (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 山吹晋助さん» 態々返信して頂いてありがとうございます。面白いお話にすることが出来ず力不足で申し訳ないです……そう言って頂けて光栄です。これからもよろしくお願いします! (2019年3月8日 19時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - ウナさん» コメントありがとう御座います。これからもよろしくお願いします! (2019年3月8日 18時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2018年9月3日 23時