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あれから俺とAは実家から離れ、同じマンションで同居を始めた。
それと同時に俺は大学を辞め、彼女との時間を費やすことにした。これに対してAは『大学辞める必要ないでしょ!?』と言われたが、俺はAとの時間を増やしたいと返すと少し嬉しかったのか顔を赤く染めていた。
新居に荷物が届き、早速荷解きをするも彼女の荷物はあまりにも少なく感じた。女の子ってオシャレとかするから多めかと勝手に思ってたけど……
て「Aの荷物ってそれだけなの?」
『うん。私って結構断捨離するタイプでね』
て「ふーん」
Aってそういうタイプなんだねと気にせずにいたら、ぐぅーと腹の音が鳴った。
て「ねぇねぇお腹すいちゃった!何か食べない?」
俺は辺りのダンボールを開けると、念の為と入れといたカップ麺が出てきた。
て「あったあった!!あとは鍋と……」
『そういえばガス会社に連絡した?』
て「あっ!?忘れてた!!」
『もう……食べに行こうか』
て「賛成ー!!」
こうやって俺とAのドタバタ同居生活がスタートした。
家賃や生活費は完全折半で、買い出しの度にその都度割り勘にする。
俺も大学を辞めたことでYouTube1本として頑張り、撮影の為にメンバーがマンションに居浸れる事が増えた。
彼女的には嫌がるかと思ったが、A自身は楽しいと嬉しい表情を見せ、時々裏方として参加するようになった。
Aもメンバーと仲良くなっていつもより明るくなって良かったと一安心してるが、夜になると少し気がかりな事がある。
俺とAがそれぞれの部屋に戻り寝付こうとしたら、いつも咳き込む声が聞こえる。
『コンッ コンッ』
まただ。日中は元気なのに夜中になるといつも咳してる。風邪なのか?いつも俺は大丈夫?と心配するも、大丈夫と返ってくる。
しばらくすると咳も止まり、眠ったのか静かになる。
落ち着いたのかなと思った中、俺は電車の中で激しく咳き込んでいた彼女の姿を思い出した。
まさかあの時と何か関係があるのかな…と考え込んだが、深く考えすぎると余計にAに迷惑かけちゃうなと思い、俺は深く考えるのは辞めた。
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2022年3月20日 19時