虎ト白鯨、葡萄ト人形ー 焼却 ー ページ43
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「詛ってやる......殺してやる......!」
「そう、大事なのはそれだ」
Qの憎悪は強くなる一方だった。
抵抗する為の力はもう残っていないのか、奥歯をギリッと強く噛み、呪文の如く、恨み言をただ呟いているだけの状態になっている。
様子を眺めているだけの彼に対し、Aは「......ッ満足かしら? スタインベック」と、尋ねた。葡萄の木が、彼女の躰を絡め捕り、地面に深く根を張っている。
コバルトブルーの瞳には一切の光が無く、暗い影を落としていた。
「今僕が話しているのは、君じゃない」
「あ”ぁあっ!!」
スタインベックは、彼女の足元に生えていた根を強く踏み付けた。
其の瞬間、痛覚信号が全身に流され激痛が走る。全身が千切れてしまいそうだった。
痛みに歪む彼女の
だが、Aは彼が何故か、酷く苦しんでいる様に見えてならなかったのだ。
辛いのは己の方なのに、如何して彼の方が己よりも、ずっと痛そうな表情をしているのだろう。
彼女の琥珀色の瞳は、スタインベックの姿を映した。
「......君の異能は“ 自分を傷つけた相手を詛う ”能力。詛われた相手は狂乱して、周囲を無差別に襲う」
根の上から足を退け、再びQに視線を向ける。
言葉を続ける彼の様子に、嫌な予感がした。
「さて、ここで問題。___ 君が今 異能を発動したら、地上はどうなると思う?」
「............っ」
彼は街中の樹木をQに結合したと云った。地上に居る人達は、其れを知らずにいる。異能の
一冊の『本』の為に、組合は中島に莫大な懸賞金を懸けた。そして、探偵社とマフィアの二組織を潰す為に、今度は横浜の街を灰に変えようとしている。
「これが緊急プラン......別名」
___ “ 横浜焼却作戦 ”だ。
「君の街は滅びる。君のせいでね」
スタインベックがQに、そう云った時だ。
Qの恨み言がピタリと止まった。
「どうして......」
か細い声と共に溢れ落ちたのは、透明な雫だった。
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時