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摑ム光ハ砂ノ如ク砕ケ散ルー 中 ー ページ36

×××


血が飛沫(しぶ)いた。
警部が無線で本部に報告をしようした瞬間、泉は小刀を握っていた。

銃を取らせる隙も、報告させる隙も与えない。刀を抜く彼女には、一切の迷いも躊躇(ちゅうちょ)も無く、一陣の風の様に警部の身体を裂いた。


「警部っ!?」


自分の事を知っている者は、未だ一人残っている。パトカーの上に着地をした泉は、軽やかな身のこなしで宙を舞う。
彼女の()には光が無く、その刃は真っ直ぐに警察官の男に目掛けて振り下ろされる。男の方も、腰に下げていた拳銃に手を掛けたが、泉の刀の方が速く、間に合わない事は目に見えていた。

男の表情(カオ)が、恐怖に歪んだ時だ。
中島が泉の腕を掴み、其の儘地面に転がり込んだ。片腕のみを虎に変え、瞬時に飛び込んだ御陰で、警察官の方には傷一つ無い。


「何てことするんだ!!」


彼の言葉に、泉はハッと我に返る。
自分のしてしまった事に気付くと、彼女の小刀を持つ手が震えた。
無傷だった警察官は、血に染まった警部の方に駆け寄り「警部 警部!」と、呼び掛けた。幸いな事に、傷は非道いが未だ息は有る。


「く......!」

「......! 本部! 殺人犯と接触し、警部が負傷! 被疑者は逃亡、至急菅機(カンキ)の応援を!!」


中島は泉の手を引き、全速力で走り出した。
此処で彼女が捕まれば、三十五人の命を奪った泉の末路は死刑。其れは免れない。
重傷を負わされた警部の事は気掛かりだったが、組合の事も有る今は(ただ)、我武者羅に逃げるしか(すべ)は無かった。

身体が重い中、港中を走り回る。
何処に逃げれば良い何て、逃走経路を考えている暇はなかった。兎に角今は、この場所から離れないといけない。

だが、彼等の進路を塞ぐ人物が現れた。


お目出度う(コングラッツ) 走り回って健康になれたな」

「......!」

「うちの作戦参謀は優秀でね。闘争対策も万全だ、書類の分厚さには閉口だが」


組合団長 フィッツジェラルドが、白い口髭を生やした男と共に立っていた。
先回りをされていたのだ。
中島は先刻の事も有り、奴と戦う事を避けたいと思っていたが、進路を塞がれた状態では衝突を避ける事は難しい。
両腕を虎に変え、戦闘を覚悟で立ち向かおうとした時だ。



パァンッ



だが攻撃を仕掛ける直前に、弾丸が中島を撃ち抜いた。


×××

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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時

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