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福音ノ救イヲ求メテ ページ21

×××


「如何してそう思ったの?」


キョトンと、まるで何も知らないと云う様な表情を浮かべる彼女に対し、背筋がゾッとした。得体の知れない【何か】と対話をしている様な、そんな感覚に襲われる。

両手の震えを服の裾を握り締めて抑え、怯えを悟らせない様に、あたしは成る可く余裕な態度と表情を貼り付ける。


「船の中で 貴女、あたしに云ったじゃない」


“ 場所を変えましょう ”

突然の提案だった。
彼女はソファから立ち上がると、窓から外の景色を見た、其の侭真っ直ぐに扉に向かったの。あたしは訳も判らず、取り敢えず彼女に着いて行く事にしたわ。

それから、外に出たあたし達が見たモノはあの爆発だった。船から出て直ぐの出来事だったから、本当に驚いたわよ。でも、隣に居た彼女は何故か酷く冷静だった。
後少し、船から出るタイミングを誤っていたら二人共助からなかったわよ。
爆風に巻き込まれない様、船から離れる為に此処迄来たのも、彼女に言われたからだ。


「可笑しいのよ」

「可笑しい? 如何してかしら? 」


私にはサッパリ、と云う様に彼女は肩を竦める。


「だって、可笑しいじゃない 貴女に云われた通りに場所を変えた途端、拠点は爆発してしまったのよ!?」


若し、彼女が船に爆弾か爆薬が積まれていたのを最初から知っていたのだとしたら、あの行動にも納得が出来る。
爆発に巻き込まれない様、何故かあたしを船から離れさせたみたいだけど、彼女は決して味方ではない(・・・・・・)わ。


「全部貴女の推測でしょう? 証拠はあるの?」

「......ッ それは」


確かに、物的証拠は何も無い。
あたしが今述べた事は唯の推測に過ぎなかった。だけど、彼女の行動には違和感を感じるの、彼女があの爆発と関係がある決定的な証拠さえあれば問い詰める事が出来るのに、何も判らなかった。


「もう行かなきゃ」

「.........え?」


琥珀色の目を細め、柔らかな笑みを此方に向ける。彼女が踵を返し、海岸から離れ始めたら、あたしはハッと我に返り「待ちなさいよ」と、呼び止めた。

彼女は一度足を止め、あたしの方を振り返る。


「見つかると善いわね、貴女の居場所」


其の瞬間、一陣の風が吹いた。
目も開けられ無い強い風に、あたしは咄嗟に両腕を前にして、顔を覆う。吹き飛ばされてしまうかと思ったが、風は数秒で止んだ。
あたしは腕を解き、閉じていた瞳を開ける。


「............居ない」


見てみると、彼女の姿は何処にもなかった。

裏ト表ノ二重奏→←天藍石ハ空ヲ仰ギ見ル



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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時

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