風ト緋ト羅生ノ狗ー 手紙 ー ページ14
×××
「あの...」
険悪な雰囲気を隠しもせず、互いを睨み合うマーガレットとナサニエル。今にも一つの争いが、またこの船上で生まれてしまいそうだったが、荷積みを行なっていた乗員の一人が、少々遠慮がちに二人に声を掛ける。
「積み荷の中に このような手紙が」
何時の間に紛れ込んでいたのだろうか、全く積み荷とは関係の無い手紙が出てきたのだ。二人はギロッと、まるで
彼は二人に同時に睨まれれば「ひぃッ」と、情けない声を上げた。
「手紙?」
宛名も無い手紙を不審に思いながら、ナサニエルは乗員から受け取ると、さっさと手紙の内容を確認してしまおうと考える。封蝋された手紙を開き、中の便箋を取り出せば、彼は内容を読み上げた。
拝啓____
時下益々ご清祥の事
お慶び申し上げます
そきだく廣大な北米の大地より
来られし皆人様に於かれましては
目睫の如き本邦は嘸や
困ずる所にあられるかと存じます
此処迄は理解出来たのだが、途中の内容が理解不能な内容だった為、彼の隣で内容を聞いていたマーガレットはナサニエルに質問をする。
「これ...何て?」
「『幼女がかわいい』と...」
二人共、全く意味が分からなかった。
正確に云うと、言葉の意味は理解しているのだが、今其の内容は全く関係が無い気がする。
取り敢えず、中身を読み進める事にした。
さて 手前が筆を執りましたるは
此度の兵革の折
僭越乍ら組合御所有の次なるを消する旨
申し伝えたく__
「我々は組合の持つ次のものを消す......」
一 . 豪華客船
一 . ナサニエル・ホーソーン様が御身命
一 . マーガレット・ミッチェル様が御身命
以上
ポートマフィア首領
森 鷗外
手紙を読み終えたナサニエルは、僅かに眉をピクリと動かした。マーガレットの方は何かの冗談だろうと、大して気に捉えていない様に見せているが、自分の命をマフィアの首領が奪おうとしている事には、多少動揺する。
ナサニエルは手紙を閉じると、近くにいた乗員に荷積みを終えたら直ぐに出航する事を伝えた。
「時間は?」
「あと二時間程かと」
「三十分で済ませなさい」
念には念を入れないと、油断は禁物だ。
×××
風ト緋ト羅生ノ狗ー 侵入者 ー→←風ト緋ト羅生ノ狗ー 険悪 ー
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時