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玉森先輩が指揮を執るイベントが、今週末に迫っていた。
さすがの先輩も、ここ数日は真面目に残業をこなしている。
「水上」
「はい」
「もう帰っていいよ？残ってんの、俺とお前だけだし」
「私も手伝います。二人でやった方が早いから」
お互い、目を合わせずに会話する。
最近の先輩とのやり取りで、視線が絡むことは皆無だ。
「お前さ・・・
「・・はい」
「お前、ガヤと付き合ってんの？」
「・・・え？」
「風の噂で、そう聞いたから」
玉森先輩は、一度たりとも私を見ない。
婚約パーティーの日以来、一度も。
「・・・先輩」
「ん？」
「こっち向いてください」
「・・は？何で？」
「ちゃんと伝えたいからです。藤ヶ谷さんとのことを、先輩にちゃんと聞いて欲しい」
「・・別に聞きたくない」
「・・私は、聞いて欲しい」
諦めてるの。
諦めようとしてるの。
頑張ってるから、
もっともっと頑張りたいから、
だから、私の口から言わせて欲しい。
私が、新しい恋を掴もうとしていることを、あなたにちゃんと知って欲しい。
「玉森先・・・
「A！」
私の名前を呼ぶ声とともに、藤ヶ谷さんが部屋の中に入ってくる。
「藤ヶ谷さん・・」
「帰ろう」
「でも、まだ・・・
「帰んなよ。俺も切りのいいところで終わらせるから」
やっぱりパソコンから目を離さずに、玉森先輩はそう言った。
「玉」
「ん〜？」
「俺、水上さんと付き合ってる」
「・・・へぇ」
「行こう」
藤ヶ谷さんに腕を掴まれて、立ち上がる。
「・・玉森さん、お先に失礼します」
「お疲れ」
先を行く藤ヶ谷さんを追いかけようと、慌ててバッグに荷物を詰めた。
「・・水上」
「・・・はい」
バッグを肩にかける私を、玉森先輩が振り返る。
久しぶりに、先輩の顔を真正面から見たような気がした。
「これでいいんだよな」
「・・え？」
「これでよかったんだよな？俺たち」
時々見せる、先輩の甘ったるい笑顔。
垂れた目尻が、先輩の顔を子どもみたいに幼くさせる。
「これでよかったんだって言ってよ・・水上」
先輩に負けないくらいの笑顔で、私も頷く。
「お互い、幸せになりましょうね」
言えた。
ちゃんと言えた。
泣かずに、笑顔で、私は、玉森先輩への気持ちと決別した。
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mhnon39(プロフ) - そうだったんですね！分かりました！何度もお話読んでます＾＾他のお話が読めるまでお返事お待ちしております！頑張ってください＾＾ (2020年6月10日 20時) (
レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 海さん» 悲しい展開が続いていますが、最後までお付き合いくだされば嬉しいです(*^^*)メッセージありがとうございます。１日に数件しか返信できておらず、パスワードをお送りするのは遅くなると思います(><)申し訳ありませんm(._.)m (2020年6月10日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - とっっても切なくて胸が苦しいです！マキさんの書く作品本当に面白くてだいすきです＾＾メッセージの方も送らせていただいております＾＾これからも更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 20時) (レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 玲さん» 新堂さんヤバいですよね！女子の嫌なところをグツグツ煮詰めて出来上がったような仕上がり笑！3人を可哀想にしたててるのは私なんですが、可哀想( ；∀；)って思いながらかいてます。結末が見えなくてある意味泣けてきます笑！ (2020年6月5日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - なんか、、新堂さん以外の3人が3人共良い子ですね。そのおかげでなのか新堂さんの悪役さが際立っていてなんとも良いです。現実に居たらぶっ飛ばしてるかもしれませんが（笑）3人は3様の切なさがありますね。誰も悪くない。悪くないから苦しい。こういう展開大好き！ (2020年6月4日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
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