49・玉森先輩 ページ1
「・・太・・・裕太」
身体を揺すられて、目を覚ます。
「大丈夫?顔色悪いわよ?」
エプロンを着けた莉子が、心配そうに、俺の顔を覗き込んでいた。
「・・来てたんだ。ちょっと飲みすぎたみたい。昨日のこと、全然覚えてなくて・・・。千賀が送ってくれたのかな」
「わかんない。私が来たときには、裕太はもうベッドで寝てたから」
「そっか、悪いことしちゃったな」
「どうしてそんなになるまで飲んだの?お酒、あんまり得意じゃないのに」
質問には答えずに、曖昧に笑う。
飲酒量が増えた理由を、到底、莉子には伝えることができなかったから。
俺の婚約パーティーで、俺が選んだドレスに身を包む水上と、それを支えるように寄り添うガヤの姿が頭から離れない。
直視できなくて、目の端で、彼女の姿を追った。
自分の婚約パーティーなのに、
隣には妻になる人がいるのに、
俺は、そんな状況の中で・・・・
ずっと、水上が好きだった。
うまく表現できないけど、あの時間、俺はずっと、水上だけを想っていた。
綺麗に結われた髪も、
ドレスから露出する白い肌も、
必死に、俺たちを祝福しようとするいじらしさも、
全部が愛しくて、水上の全てを好きだと思った。
そんな自分が許せなくて、どうしても、彼女を真正面から見つめることはできなかったんだ。
「裕太」
「ん?」
「夢、見てた?」
「何で?」
「夜中に私がベッドに入った時、幸せそうな顔して眠ってたから」
夢の中で、俺は水上を抱きしめた。
少しも離れたくなくて、離したくなくて、全身で水上を抱きしめた。
「・・・夢なんて、見てないよ?」
夢なのに、水上の身体は温かかった。
あまりにも俺に馴染むその抱き心地が悲しくて、悲しい分だけ、水上への愛しさが増していく。
俺は一生、水上を抱きしめることなんてできないのに。
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mhnon39(プロフ) - そうだったんですね!分かりました!何度もお話読んでます^^他のお話が読めるまでお返事お待ちしております!頑張ってください^^ (2020年6月10日 20時) (レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 海さん» 悲しい展開が続いていますが、最後までお付き合いくだされば嬉しいです(*^^*)メッセージありがとうございます。1日に数件しか返信できておらず、パスワードをお送りするのは遅くなると思います(><)申し訳ありませんm(._.)m (2020年6月10日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - とっっても切なくて胸が苦しいです!マキさんの書く作品本当に面白くてだいすきです^^メッセージの方も送らせていただいております^^これからも更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 20時) (レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 玲さん» 新堂さんヤバいですよね!女子の嫌なところをグツグツ煮詰めて出来上がったような仕上がり笑!3人を可哀想にしたててるのは私なんですが、可哀想( ;∀;)って思いながらかいてます。結末が見えなくてある意味泣けてきます笑! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - なんか、、新堂さん以外の3人が3人共良い子ですね。そのおかげでなのか新堂さんの悪役さが際立っていてなんとも良いです。現実に居たらぶっ飛ばしてるかもしれませんが(笑)3人は3様の切なさがありますね。誰も悪くない。悪くないから苦しい。こういう展開大好き! (2020年6月4日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
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