チョコレートと花束を(Ki)

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もう、めちゃくちゃだ。



爆発した感情は、粉々に砕け散ってしまった。



私の八つ当たりみたいな感情の破片は、きっと北山さんをグサグサに突き刺した。




取り返しのつかないことを言ってしまった私は、もう、１時間以上お風呂から出られていない。




「おい！まだ上がんないのか？そろそろのぼせるぞ！」



「先に寝ててください」



「やだね。あと10秒以内に上がんなかったら風呂のドア開けるからな！俺に裸見られるからな！」




「ちょっ・・・・




「10.9.8.7.6・・・・」




「脱衣所にいたら出られないよ」




「目、瞑ってるから。・・・5.4.3」




「・・・もう」





０がカウントされる少し前に、ゆっくりと扉を開けた。



脱衣所には、目を瞑ったまま、バスタオルを広げる北山さんの姿。



「どうすればいいの？」




「タオルにくるんでやるからここに来て？」




「いいよ。自分でやる」




「早くしろ。目ぇかっ開くぞ！」




急いで、北山さんの前に立つ。



気配を感じたらしい北山さんが、タオルで私をくるんで、そのままゆっくりと抱きしめた。




「・・・濡れちゃうよ？」




「うん」




「着替えるから」



「一人で着替えられる？」



「当たり前でしょ？」



「じゃあ、待ってるから」



「え？」



「寝室で待ってる。一緒に寝よう？」



「でも・・」



「そんな気持ちになれない？」



「だって私、何だか感情的になっちゃって・・・北山さんにも月城さんにも、合わせる顔ないです」



「合わせてよ。明日も明後日も、朝起きたら、Aの顔を見たいよ？俺は」




「・・・・北山さん」




「北山さんの幸せは、けっこう君が大部分を占めてますよ？」




身体を離して、北山さんが脱衣所を出ていく。





好きでいてもいいの？とは、どうしても聞けなかった。

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