27 ページ27
結局私たちは行く当てもなく、ぶらぶらと近所を散歩している。
「映画でも見ます？」
「多分、今映画見たら寝ちゃうと思う」
「じゃあ買い物は？」
「何もいらねー」
「つまんない」
「つまんないって言うなよ。傷つくだろ？」
「こんなのデートって言うのかな？」
不満げに北山さんを睨む私を、北山さんも睨み返す。
「ん」
「何？」
差し出された右手をぼんやり眺めていると、北山さんは乱暴に私の左手を握った。
「・・・手を繋ごうって言ってくれたらいいのに」
「言えるか。そんなこと」
「デートっぽいですね」
「デートだろ！立派な！」
我慢できなくて、私は声をあげて笑った。
「何だよ」
「中学生のデートみたい」
「ふざけんな。どっからどう見ても大人のデートだろ！」
「どこが？」
機嫌を損ねる北山さんが、とても愛しい。
ただ、手を繋いで歩いているだけの時間が、とても愛しい。
意味のない会話も、場違いなおしゃれも、好きな人との全てが、私をこんなにも幸福にしてくれる。
「北山さん」
「何だよ」
「好きです」
「え？」
「ちゃんと言ったこと、なかったから。北山さんと歩いてるだけで、すごく楽しいです」
呆気にとられたように、北山さんは私を無言で見つめる。
「A」
「ん？」
「・・・・好きだ」
「・・・・北山さん」
「好きだから、俺と、付き合ってください」
「・・・・はい」
改めてくれた告白。
「おい、何で泣くんだよ」
「・・・違・・・泣くつもりなんかないのに・・・」
北山さんの「好き」という言葉がこんなに嬉しいなんて、私がいちばんそのことに戸惑っている。
「ごめんな。あやふやに付き合って」
「・・・それは、私も同じだから」
「夜中に目が覚めた時に、お前の気持ちよさそうな寝顔見んのがいちばん好き」
「え？」
「たまに夜中に抱きしめてる」
「本当？」
「好きなんだなぁって思うんだよ。そんな時に」
やっぱり、おしゃれしてよかった。
北山さんの目に映る私が、少しでも可愛いと嬉しいから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 949人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - マキさんご無沙汰してます。そして今頃すみません。全てのシーン私の抱いているみっくんでした。すごいなぁ〜。こんな素敵なお話を描けるマキさんは本当に優しい人なのだろう。私ではないけど彼女の私は沢山幸せをもらいました。さびしいです。ありがとうございました。 (2021年11月1日 15時) (
レス) @page49 id: e2d6b3aa5d (このIDを非表示/違反報告)
わわか(プロフ) - １つずつ終わっていくのがすごく寂しいです。マキさんの言葉、物語がとてもとても好きでした！他のメンバーの話も楽しみであり、終わってしまうのがさみしくもあり。最後までしっかり読ませていただきます！ (2021年5月28日 17時) (レス) id: 3db566fc35 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 北山くんが主人公のお話、終わっちゃいました。私の書く北山くんが、北山くんをお好きな皆様にも温かく受け入れてもらえて嬉しかったです！ありがとうございました(*^^*) (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» 元は横尾さんがお好きだったんですね(*^^*)北山くんと横尾さんの関係性がとても好きなので、二人のお話が書けて私も楽しかったです！身長差もそうですけど、情熱と冷静みたいな対極な二人がいいなぁと思っています＼(^^)／ (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ちい★(プロフ) - 終わっちゃって寂しいです…。マキさんの書くお話は苦しくなったり幸せになったり…リアルで大好きです！！！読み返してきます★ (2021年5月16日 11時) (レス) id: aba16733a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
