11(北山さん) ページ11
玄関のドアを開けて、俺のじゃない靴が置いてあると、何かいいなと思う。
部屋の明かりがついていて、人の気配が感じられると、何かいいなと思う。
「あ、北山さん、お帰りなさい」
「・・・ただいま」
”お帰りなさい”って言われて、”ただいま”って答えるこの瞬間も、何かいい。
「北山さん？」
「ん？」
「どうかしました？」
「何で？」
「私のこと、じっと見るから」
「・・・癒されるなって思って」
「え？」
「気持ちが落ち着く。家に帰って人がいると」
何も言わずに、Aは小さく笑う。
「うざったく思われてなくてよかったです」
「思うわけないじゃん。俺が一緒に住もうって言ったんだし」
「いつ気が変わるかわかんないじゃないですか。突拍子もないこと思い付いちゃう人って」
「・・・やっぱ突拍子もないよな？」
「え？」
「会ったその日に一緒に暮らそうなんてさ」
「自覚あるんだ。よかったです」
「友達に怒られた」
「怒られた？」
「彼女でもない人と同じベッドで寝るなんて考えられないって」
「・・・そうですね。お友達が正しいと思います」
「そう思ってるんなら言ってくれればいいじゃん」
「だってそれが条件でしょ？全部タダでここに住ませてもらうための」
「それでも嫌なら嫌って言えよ！俺だって無理強いはしたくねーよ！」
「どうして北山さんが怒るの？私は一緒に寝たくないなんて一言も言ってないのに」
多分、いくつも年下であろう女の子に正論を突きつけられて言い淀む俺。
いつも、”熱”が先に行動を起こさせてしまうから、”冷静”はそれに追い付けなくて、こんなふうに後悔してばかりいる。
恋愛感情がないなら一緒に寝てもいいなんて、そんな理屈は通らないのに。
「・・・・ごめん」
「え？」
「Aの気持ち、少しも考えてなかった。一緒に寝たら安眠できるっていう俺の事情に付き合わせてごめん」
「北山さ・・・
「今日から別々に寝ようぜ？無理させて悪かったな」
35歳、男性。
ようやく自分の非常識さに気づくの巻。
精神年齢はいつだって、実年齢よりやや低め。
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みき(プロフ) - マキさんご無沙汰してます。そして今頃すみません。全てのシーン私の抱いているみっくんでした。すごいなぁ〜。こんな素敵なお話を描けるマキさんは本当に優しい人なのだろう。私ではないけど彼女の私は沢山幸せをもらいました。さびしいです。ありがとうございました。 (2021年11月1日 15時) (
レス) @page49 id: e2d6b3aa5d (このIDを非表示/違反報告)
わわか(プロフ) - １つずつ終わっていくのがすごく寂しいです。マキさんの言葉、物語がとてもとても好きでした！他のメンバーの話も楽しみであり、終わってしまうのがさみしくもあり。最後までしっかり読ませていただきます！ (2021年5月28日 17時) (レス) id: 3db566fc35 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 北山くんが主人公のお話、終わっちゃいました。私の書く北山くんが、北山くんをお好きな皆様にも温かく受け入れてもらえて嬉しかったです！ありがとうございました(*^^*) (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» 元は横尾さんがお好きだったんですね(*^^*)北山くんと横尾さんの関係性がとても好きなので、二人のお話が書けて私も楽しかったです！身長差もそうですけど、情熱と冷静みたいな対極な二人がいいなぁと思っています＼(^^)／ (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ちい★(プロフ) - 終わっちゃって寂しいです…。マキさんの書くお話は苦しくなったり幸せになったり…リアルで大好きです！！！読み返してきます★ (2021年5月16日 11時) (レス) id: aba16733a8 (このIDを非表示/違反報告)
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