2 (横尾くん) ページ2
"渉の会社に、来栖さんって子いる？"
太輔にそう聞かれたのは、多分、2年前の冬だった。
来栖と太輔は、お互い、無理やり友達に連れていかれた合コンで知りあったらしい。
"来栖？来栖A？"
"そうそう！いい子だよな"
"いい子？変わった子の間違いだろ？"
"いや、いい子だよ"
あの時の太輔の、優しい表情を今も覚えている。
太輔くらい器がでかけりゃ、来栖みたいなわけのわからない生き物も、簡単に包み込んでしまえるんだろう。
まぁ、俺には無理だけど。
手ぶらでいいと言われたけど、一応飲み物を買って、太輔の住むマンションまで出向いた。
無視すればいいのに、律儀に祝われにくる俺を、誰でもいいから褒めてほしい。
インターホンを鳴らすと、すぐに来栖が現れた。
「来てくれたんだ！」
「お前が来いって言ったんだろ」
「嫌そうな顔してたから」
「嫌だよ。この年になって誕生日祝われるなんて」
ブツブツ文句を言っていると、太輔がリビングから顔を覗かせた。
「渉、早く入れよ」
「最後の抵抗してんだから邪魔すんな」
「A！渉の手を引っ張れ！」
来栖が俺の腕を強く引くから、俺の身体は簡単に部屋の中に入る。
「横尾くん！お誕生日おめでとう！」
満面の笑みで、来栖はそう言った。
「別にめでたくねーよ」
呟いたその声が、拗ねた子どもみたいに響いて焦る。
「めでたいよ！ねぇ、太ちゃん！」
「うん。ほら、準備しといたから、後は渉が作るだけだよ？」
「は？」
慌ててキッチンに向かうと、統一性のない材料が、無造作に置かれていた。
「俺が祝われるんじゃないの？」
「祝ってるよ？」
「どこが？！」
「だって俺たち料理できないんだぜ？」
「知らねーよ！」
まったくふざけたヤツらだ。
主役に料理を作らせるなんて聞いたことがない。
「横尾くん」
「なんだよ」
「楽しいね」
「楽しくてたまるか！」
こんな時でさえ、俺の手は几帳面に野菜を切り揃えてしまう。
肉の下ごしらえだって完璧だ。
「渉」
「あ？」
「誕生日、おめでとう」
子どもの頃、5月生まれだと伝えたら、いい季節に生まれたねと言われた。
開け放った窓から風が流れて、ふんわりとカーテンを揺らしている。
「あ、涼しい風が入ってきた。気持ちいいね。横尾くんは、いい季節に生まれたんだね」
思わず来栖見上げると、視線が重なって、彼女は楽しそうに笑った。
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マキ(プロフ) - ソフィアさん» 一目惚れって素敵ですね〜！そのお方はどんなにかっこよかったんだろうって思わず想像してしまいました。自分が好きな雰囲気ってありますよね！私の場合は横尾さんがまさにそれです笑！(*^^*) (2020年9月28日 0時) (
レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 玲さん» 藤ヶ谷さんと七瀬さんを知り合いにしたのは、思い付きでやってしまいまして、私のいつもの癖なのですが(>д<)物語の終わりに吉と出るか凶とでるか、話の流れどうするつもりなのか書いている私も知らないというツッコミ所満載な感じでお送りしていますm(._.)m笑 (2020年9月28日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - なぁままさん» ありがとうございます。全然更新できなくて申し訳ないです( ；∀；) (2020年9月27日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - すごーくありきたりなんですが、高校入ってすぐに一目惚れした彼にはすでに彼女がいて…わんわん泣いたのを思い出しました。なつかしーなー、すっごい昔の話。 (2020年8月18日 12時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - まさかの藤ヶ谷さんと七瀬さんに共通の過去が！この展開は本気で予想外でした！なぜ信じる！！！！←ここめっちゃ気に入ったので私も普段使いしちゃおうかな(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年8月17日 23時) (レス) id: d67bf6cc3e (このIDを非表示/違反報告)
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