46 (玉森くん) ページ46
ベッドに押し倒して、Aの両肩のそばに手を着く。
永遠みたいに長い時間、お互いに見つめあった。
「私、手順がわからないんですけど」
「手順なんてないよ？」
「そうなの？」
「Aが触りたいとこを触ればいいし、触ってもらいたいとこ、ちゃんと教えて？」
「・・うん」
震えるんだな。
好きな人を触るのって震えるんだ。
指先も・・・
心も。
「怖くない？」
「怖くないよ」
「俺は怖い」
「どうして？」
「傷つけたらどうしようって、すげー怖い」
「玉森さんらしくない」
「らしくないって？」
「だっていつもは強引だし、意地悪なのに、今日はすごく優しいから」
そう言って微笑むAが、随分大人びて見えた。
君を好きになって知ったんだ。
君をからかって怒らせるのは、構って欲しいからなんだっていうこと。
そういう幼稚な自分の存在。
心臓がぎゅーって絞られるような切ない感覚が、愛しさだということ。
人を好きになることに、限界はないことも。
この瞬間だって、降り積もってる。
君への愛しさが。
好きという気持ちが。
無くしたくない恐怖も。
この感情の全ては、君しか、教えてくれない。
「玉森さん？」
Aが心配そうに俺を見上げて、掌を俺の目尻に添える。
「玉森さん、泣いてる」
「はぁ？泣いてねーし」
「泣いてるよ？ほっぺ、濡れてるもん」
「・・・何で？」
「・・え？」
「何で泣くの？お前をすごく好きだって思ったら、何で涙が出てくんの？」
「それは・・
答えを言おうとするAの唇を塞ぐ。
軽く触れるくらいなんて冗談じゃない。
部屋の温度も湿度も上昇していく。
指先は、もうほどけないかもしれないってくらいに絡み合う。
「・・・・玉森さん・・・」
「・・・お前に教えてもらわなくても知ってっから」
「・・え？」
「愛してるんだろ？」
もう一度、指先に力を込めた。
だって、俺の言葉が、言葉以上に、正しく伝わって欲しいから。
「俺、お前のこと愛してるんだろ？」
「・・・・そうなの？」
「そうだよ」
"愛してる"なんて、陳腐な言葉だと思ってたのに、それ以上の言葉を思い付かないし、俺は知らない。
だから伝えてもいいかな。
君への気持ちを表す言葉は、これしか持ってないから。
「A」
「ん？」
「愛してる」
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にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (
レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか？もしそうなら一緒です〜＼(^^)／こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています！ (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ；∀；)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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