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うつ向き加減で、人の波に流されながら前に進む。
先生らしき男性を見かけるたび、玉森さんなんじゃないかと思っていちいちビクついてしまう。
「玉ちゃ〜ん」
甘えるような声が聞こえて、私は思わず顔を上げた。
声の先には、"3-C タピオカジュース"と書かれた看板があって、テントの中に、たくさんの女子生徒に囲まれた玉森さんがいた。
3年C組なんだ。
タピオカジュース売ってる。
あ、タピオカかき混ぜてる。
そこの女子、少し近づき過ぎじゃないですか？
耳元で囁かなくたって、玉森さんには聞こえてると思うんだけどな。
自分でも引いちゃうくらい黒い感情が吹き出して、やっぱり私はうつ向いてしまう。
来なきゃよかった。
見なきゃよかった。
私の知らない玉森さんなんて、本当は知りたくないのかもしれない。
玉森さんは全然悪くないのに、腹いせに3年A組のかき氷を買った。
模擬店の並ぶメインの通りから外れて、人気のない場所まで移動する。
かき氷の山をシャリシャリと崩す。
八つ当たりのように崩す。
一口も食べてないのに、氷の山はシロップに飲み込まれていく。
「かき氷に親でも殺されたのか」
顔は、上げられない。
だから私は可哀想なかき氷と一緒に、声の主に背中を向けた。
「氷をめった刺しにしてる人、初めて見た」
「・・あの・・
「何してんの？」
悪事がバレた罪人のように、私はぎゅっと目を閉じる。
「枯れ葉ついてる」
私の髪に触れる大きな手の感触に気づいて、恐る恐る目を開いた。
「・・玉森さん・・こんにちは」
「こんにちは」
余裕の微笑み。
すごく、怖い・・・・です。
「えっと・・・これには事情があって・・」
「どーせ宮田だろ？あいつ毎年来てんだよ。バレてないと思ってんだろうけど、めちゃめちゃバレてる」
「ごめんなさい」
「楽しかった？」
「いえ・・あんまり」
「かき氷めった刺しにしてたもんな」
「それは・・
「ヤキモチ？」
「そんなことは・・・あります」
どんどん私を追い詰めていく玉森さん。
私は、玉森さんには敵わない。
「それ、A組のだろ？嫌がらせかよ」
「腹いせ？」
「怖っ」
玉森さんは私からかき氷を取り上げて、それから自分が持っていたカップを渡す。
「タピオカ屋さんだから、俺」
タピオカの入ったミルクティー。
「・・・ごめんなさい」
反省してうなだれる私を見て、玉森さんは楽しそうに笑った。
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にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (
レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか？もしそうなら一緒です〜＼(^^)／こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています！ (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ；∀；)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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