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「・・何これ」
玉森さんがそう言って、私はハッと我に返る。
慌てて触った唇には、柔らかな感触が残っていた。
「ご・・・ごめんなさい！」
「今、何したの？」
「・・・・キス？」
「何で？」
「・・玉森さんが、ドキドキしたいって言ったから、思わず」
「誰にでもこんなことすんの？」
「違・・・うと思います。ドキドキしてみたいって言われたの初めてだったから、他の人に言われたらどうするのか、自分でもわからない」
「危ねー」
「え？」
「危なっかし過ぎるよ、お前」
玉森さんはそう言って、私にぐいーって顔を近づける。
「何で逃げないの？このままだとキスされるぞ」
「わっ！」
慌てて玉森さんと距離を取る。
「距離感おかしいのはどっちだよ」
「・・・だって」
ドキドキしてみたいって言ったのは玉森さんなのに、いつの間にか悪いのは私になっている。
いや、悪いのは私なんだけど、なんか・・・理不尽。
「・・・キスしてごめんなさい」
「ファーストキスだったのに」
「え！？」
「嘘だよ」
ドキドキしてみたいなんて言ったのも、きっと嘘に決まってる。
私みたいな経験の浅い女が、玉森さんのそういう対象に入るわけがない。
「酷い」
「ん？」
「私のこと、からかってばっかり」
泣くのはあまりにも悔しいから、私は涙をぐっとこらえて、玉森さんを渾身の力で睨んだ。
「からかうって何？」
「玉森さんは最初からずっと私のことからかってる。そんなことして楽しいですか？」
ベッドに片膝を立てて、玉森さんは首を傾げる。
「ドキドキしたよ？」
「・・・え？」
「キスされてドキドキしたの、生まれて初めてだ」
いつもの、綿菓子みたいに甘い笑顔。
言葉だって、ちゃんと甘い。
今なら、味覚は混乱せずにすみそうだ。
「もう一回、ドキドキさせて？」
あ、意地悪な香辛料が入ってきた。
「・・・嫌です」
下を向いてフルフルと首を振る私の顔を、玉森さんが持ち上げる。
「俺も嫌です」
私のキスとは比べ物にならないくらい大人のキス。
二人きりの部屋の中に、唇が重なる音が響く。
「玉森さ・・・・
「ドキドキした？」
「・・・うん」
「ざまーみろ」
不敵に笑う玉森さん。
やだ。
好きになんて、なりたくない。
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にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (
レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか？もしそうなら一緒です〜＼(^^)／こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています！ (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ；∀；)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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