● ページ3
その声を聞いた瞬間、心臓が激しく自己主張を始める。
胸の奥がぎゅっと締め付けられるように痛くて、おまけに喉の奥も同じように痛くなって、
目頭が急に熱くなった。
見つけた。
＿＿＿チリンｯ
動揺して取り落とした鍵が地面にぶつかる音が、どこか遠く聞こえた。
「あの」
あの、声が。
「鍵、落としましたよ」
すぐ傍から。
「あ、ありがとうございます」
硬直していた体で慌てて振り返ると、男の人がわざわざかがんで鍵を拾い上げてくれていた。
噛みそうになりながらも急いで礼を言い手を出すと、その上に鍵をそっと乗せてくれる。
この、優しい手つき。
間違いない、❝あの人❞だ。
私よりも身長の高いその人の顔を見上げる。
さらさらとした黒い髪に柔らかく弧を描く黒い瞳、それを縁取るメガネ。
大人っぽい顔立ちだけど、私とあまり歳は変わらないように見える…
そのまま見ているとその人は驚いたような顔をして、それから＿＿＿ちょっとたじろいだ。
少し遅れて、頬に熱い液体が伝う感触。
「あ、すすすいません！」
慌てて俯き拳でごしごしと涙を拭っていると、
「あの、よかったら使ってください」
と遠慮がちに綺麗に畳まれたハンカチを差し出される。
顔は見られたくないので俯いたまま、おずおずと手でハンカチを受け取った。
私の手が震えてたの、さすがにバレただろうか。
「大丈夫」
ゆっくりと落ち着かせるようにその人が言う。
初対面で相手に泣かれて、それでもわけのわからないままハンカチを貸してくれて。
貴方に
心の奥底で、そう思った。
--------------------
目を通していただきありがとうございます！
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
この話の前世、と言うことになっております前作は
夢主視点とトントンさん視点をそれぞれ書きました。
で、今作は今のところ夢主視点オンリーなのですが、
最後までこのまま行くか、
前作と同じように半々で2視点書くか、迷っております。
どっちでもええわって方が多いと思いますが、
○○の方がいい！って方はぜひコメントくださいm(*_ _)m
それでは、これからもなにとぞよろしくお願いします。。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 171人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あおいひつじ(プロフ) - ふるーつぱんちさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて何よりです…！！これからもぼちぼち更新して行くつもりなのでどうぞよろしくお願いします… (2021年9月23日 22時) (
レス) id: c2931348c9 (このIDを非表示/違反報告)
ふるーつぱんち - コメント失礼します、ストーリーと夢主ちゃんとtnさんの心のなかがみれて嬉しいです (2021年9月22日 23時) (レス) @page10 id: 31444be7ca (このIDを非表示/違反報告)
あおいひつじ(プロフ) - 寝福丸さん» コメントと応援、ありがとうございます！！！2視点ですね！なんとか頑張ります…これからもどうかよろしくお願いします！！ (2021年8月30日 19時) (レス) id: c2931348c9 (このIDを非表示/違反報告)
寝福丸(プロフ) - 私も2視点書いて欲しいです、頑張ってください、お願いします！ (2021年8月30日 15時) (レス) id: 4ec462067a (このIDを非表示/違反報告)
あおいひつじ(プロフ) - 匿名希望の〇〇さん» わ、コメントありがとうございます…！！！(泣)了解です、2視点頑張ります！これからもどうかよろしくお願いします… (2021年8月30日 11時) (レス) id: c2931348c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルウ | 作成日時：2021年8月29日 22時
