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語弊があるから言うけど、話盛り過ぎな件について。知り尽くすって私が一方的にでしょうが。あなたが私のことで知っていることとしたら、あなたのことが大好きだということ?iPhoneの画面ロックのパスコード?だって同じだったし。あとは住所?ナビに登録したけどもう見なくても覚えたって言ってた。んー、あとは、……誕生日は忘れられてたし、あとは、なんだろ。……体以外、……いや、まあ、そうよね、うん。急に恥ずかしくなって目を伏せた。







「……生々しいからやめて」
「もし俺が彼女作ったらどうなんの?」
「……紫耀くんが幸せならそれでいい」
「そこは死なねえのかよ……」
「え?」







推しが幸せならそれでいい、なんて綺麗事を簡単に言えちゃってる自分は果たしてファンと呼べるのだろうか。プライベートとアイドルと、何ら変わりない紫耀くんだから、テレビで見るそのままだし、噂で聞くような優しさの塊で、私なんかのことも女の子扱いしてくれる天才だし、でも手は出さないところがまた好き。









携帯番号は教えてくれそうだったけどやめた。やめたとか言うと上から目線になっちゃうよね、これまた語弊。正確に言うと「番号とか知りたいんじゃないの?」と言われて咄嗟に「大丈夫です」と断ったことがきっかけ。「なんだ、教えちゃうとこだった」って太陽みたいに笑ったから眩し過ぎて無視しちゃった。なんかもうファンってなんなんだろうね。







「いやなんか、よく分かんねえわ、やっぱ」
「分かんなくていいの、」
「分かりたいって思うのはおかしいか?」
「……だから、それ、期待するからやめて」
「どれ」
「それだよ、それ」
「だから、どれ!」







こんなくだらない言い合いをするなんて誰が想像しました?キラキラ輝く姿が大好きで、誰にでも優しいあなたが大好きで、本気で笑うと声も出なくなるところとか、くしゃみが異常にデカいところとか、iPhoneのパスコード「当てたらすごいぞ」って言ったくせに目の前で教えてくるところとか、それがまさか私と同じだったこととか、全く同じ香水2つ並べて「これとこれ若干匂い違えんだよ」ってドヤ顔されたこととか、そんなん知るかって笑い合ったことも、全部私の大切な思い出で、褪せることなんて一生ないと誓える。







「もういいから帰りなよ」
「呼んだのお前じゃん」
「だから帰ってって言ってんの」
「ガチで言ってんの?」
「……そんなわけ、」




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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年9月15日 19時

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