君は俺の運命【灰谷蘭】 (ページ46)

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▽過去編3　愛？ページ46

集会に行くと、イザナも蘭もいない。

鶴蝶に経緯を聞いた竜胆は、焦っていた。

「ねぇちゃん大丈夫なのかよ？」
「相手の女はイザナが一発殴ったし、
　2度目はねぇだろ」
「そっか…
　だったら兄貴には相手の素性知らせねぇ方がいいかも…
　姉ちゃんが絡むと容赦ねぇから…」

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竜胆が、兄のユリに対する想いの深さを知ったのは、
その半年ほど前だった。

ちょうど、蘭の誕生日と、ユリの修学旅行が重なったのだ。
その頃ユリは学校ではほとんど1人で過ごしていたものの、
休むことは絶対にしなかった。

それが、蘭と付き合いながらも、
母に恥ずかしくない生き方をするための、
唯一のケジメだと考えていたから。

だが、蘭にそんな常識は伝わらない。
拗ねた蘭のいらぬ一言に珍しくユリが言い返したことで、
大喧嘩になってしまったのだった。

3泊4日の沖縄に旅立つ前、
竜胆からは、帰ってきたらすぐに仲直りしてほしい、
お土産はいらないから出来るだけ早く帰ってきてほしい、
でもできればやっぱり行かないでほしい…
と長文のメールが来ていたが、
ユリはゴメンねとだけ、返信しておいた。

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出発の日の朝、ユリは電車で空港へ向かった。
しかし、その電車内で、
ふと、ブレスレットを家に忘れたことに気づいた。

その昔蘭と竜胆が誕生日にくれたプレゼント。
いつも肌身離さず身に付けていたものを、
今日に限って…

蘭に俺を置いていくなと言われている気がした。

ユリはふふっと笑って、次の駅で降り、
祖母の声真似をして欠席の連絡を入れた。

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せっかくの蘭の誕生日、
プレゼントは買ってあったが、他の準備はしていなかった。

今からできることには限りがあるけれど…

ユリの修学旅行に合わせて、父が出張に出て行ったことも、
都合が良かった。

夕方。

敢えて何も言わずに、2人のマンションを訪ねると、
留守のようだった。

合鍵を使って中に入ると、
ユリも何度か連れていかれたクラブのカードが、
テーブルの上に出しっぱなしになっていた。

大方、竜胆がバカ騒ぎをしに連れて行ったのだろう。
ユリはとりあえず向かってみることにした。