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「私は、産みたいって思ってる。
蘭ちゃんの仕事のことも、
普通に子育てできないってことも分かってる。
でも…この子には罪はないでしょ？」
蘭はまだ茫然としている。
「ねぇ…蘭ちゃん？」
「俺は…正直ガキとか興味ねぇ。
お前がいてくれたらそれでいーし…」
想像していた通りの返答に、少し落胆するユリ。
「でも…ガキがいたら…
お前、絶対ェ俺から離れねぇよな」
「は…？
自分の子を人質にするつもり…？」
相変わらず、常識では測れない蘭の思考回路に、
ユリはつい笑みがこぼれる。
「蘭ちゃん、本当に私のこと好きだよね」
「ウッセェ」
「産んでいいってこと？」
「俺はイクメンにはなんねぇぞ」
「いいよ、竜ちゃんがいるから」
「は、アイツは近づけさせねーよ」
「どうして？」
「ロクな大人になんねぇだろーが」
「それ…蘭ちゃんが言う…？」
2人は言い争いながらも、
きちんと話ができたことに、お互い安堵していた。
―――――――――――――――――――――――――
その夜、妊娠したことを告げると、竜胆は蘭以上に喜んだ。
「甥っ子ってことだよな？
めっちゃ手伝うから！
色々準備しなきゃなぁ！」
と既にイクメンぶりを発揮している。
その横で蘭も何やらパソコンで熱心に調べものをしている。
「なんだかんだ、兄ちゃんも自分の子は可愛いよなぁ」
「あ？ちげーよ。
シッター探してんの。
ユリがなーんにもしなくていいように」
「え…？私、ちゃんと自分でするよ」
「は？
クソガキに邪魔されてたまるか」
自分の子どもにすら嫉妬する夫/兄に、2人は呆れながらも、笑っていた。
その夜久しぶりに一緒にベッドに入った蘭は、
一瞬たりともユリを離そうとしなかった。
抱きつぶされ、意識が飛びそうになる中で、ユリが言う。
「ねぇ…ちょっとは手加減してよね…
もうここに赤ちゃんいるんだから…」
「るせぇ…
やっぱガキなんて邪魔だなぁ」
「先が思いやられるよ…」
「俺は自分の子だろうが甘やかしたりしねぇぞ」
「男の子か女の子、どっちがいい？」
「女」
「どして？」
「お前に甘える男は俺だけでいーの」
そう言いながらまた口づけが降ってくる。
何度目か分からない快楽に、
ユリは溺れながら目を閉じた。
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
