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車内ではユリが、竜胆に肩を抱かれながら震えていた。
「ねぇちゃん…水飲む？」
「うん…」
「蘭ちゃん…捕まらないよね…」
「お前…こんな時まで兄ちゃんの心配かよ。
あの幼馴染はどーでもいーの？」
「よくないけど…でも…警察に捕まったら…」
「大丈夫だよ、安心して寝てな…」
ユリは急に襲ってきた眠気に、気を失った。
しばらくすると、竜胆の携帯が鳴った。
「上手くいった？」
「おぉ〜たぶんこれでもうサツも追ってこねぇ。
ユリは？」
「横で寝てるよ。
ちょっと薬飲ませたけど」
「じゃ、とりあえず一旦アジトで合流な」
――――――――――――――――――――――――
竜胆がアジトへ戻ると、マイキー以外の幹部が待っていた。
「おいおいここは幹部以外立ち入り禁止だろ？
女連れこんでんじゃねぇよ」
「うるせーよ薬中。
こいつはそんなんじゃねぇよ。
ボスは？」
竜胆が腕に抱いたユリをソファに下ろした。
すると奥からマイキーが現れた。
「詳しくは兄貴が来てから話すけど、
こいつ、兄貴の嫁だから」
「は？アイツ嫁がいるのに、
女取っ替え引っ替えしてたのか？」
春千夜が爆笑しているところに、蘭が帰って来た。
「あとコイツ、サツのお偉いさんの娘」
そう言いながら、蘭はユリの頬をそっと撫でた。
「は？スパイかもしれねーじゃねぇか！
女に騙されてるようじゃあ世話ねぇなぁ？」
春千夜の言葉は無視しつつ、蘭はマイキーに言った。
「サツの出方が分かるまでは疑われても仕方ねぇから、
それまではここに住まわす。
でも、疑いが晴れたら…
俺らのセーフハウスに連れてく」
蘭は眠っているユリを抱き上げた。
「じゃ、とりあえずは部屋に帰んね」
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
