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「お〜いユリ」
蘭がいつもの調子で近づいてくる。
ユリがどうしたものかと考えあぐねている横で、
友達たちは後ずさりをしていた。
「え…ユリちゃん知り合いなの…？ 」
「あれって灰谷兄弟だよね…」
「人殺しでしょ…？」
蘭は周囲の雑音など気にせず、
ユリの首の周りに腕を回して、話し続けた。
「こいつ、俺のだから。
ぜってー手出すなよ」
後ろの不良たちが頷く。
ふと竜胆が周囲に目をやると、サトシに気が付いた。
「あれ、お前まだねぇちゃんのストーカーやってんの？」
「おいおい、諦め悪い男は嫌われっぞ〜。
なぁユリ、お前がハッキリ言ってやれよ〜」
「ちょっと…離して…」
ユリは恥ずかしさと気まずさで、
一刻も早くこの場から逃げ出したいと思っていた。
が、逃げようとすればするほど、蘭は腕に力を入れてくる。
「おい、バイクとって来い」
蘭が手下にそう言いつけると、
すぐにとんでもないバイクが横づけされた。
「んじゃ、俺ら帰るわ。
お前らもテキトーに解散しとけ〜」
有無を言わさずユリを後ろに乗せ、蘭と竜胆は走り出した。
――――――――――――――――――――――――――――――
到着したのは、六本木のランドマークでもあるマンションの最上階だった。
「ど、どうしたのこの部屋？」
「え？俺とりんどーの新しい家」
ピースをしながら、蘭はソファに腰を下ろす。
「ねぇ…2人は最近何してたの…？」
「何って…六本木制覇」
もうどこ歩いても大丈夫だから心配すんな、と言う蘭。
「手下にも顔覚えさせたし、
六本木にいればねぇちゃんは安全だよ」
可愛い笑顔で、竜胆が言う。
状況がよく分からないまま、
2人は屋台で買ったものをつまみにお酒を呑み始めた。
釈然としないことはあるものの、
3人でいれば、やはり楽しい。
気づけば10時を過ぎ、竜胆はソファで眠り始めた。
「りんどー寝ちまったな…」
「こうしてると子どもみたいだよね…
じゃあ…私もそろそろ帰らなきゃ…」
「いいじゃん、まだ」
「ダメ、門限あるし」
バッグを探そうと振り返ると、蘭の顔が目の前にあった。
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
