▼第4部 再会 ページ17
月に1度の手紙のやり取り以外、
兄弟との関わりはないまま、1年が過ぎた。
ユリは受験勉強に勤しみ、都内有数の進学校への合格を勝ち取った。
周囲の人間たちが、灰谷兄弟のことなど忘れてしまった頃、
2人の出所は決まった。
人を殺したとは言え未成年、
被害者が犯罪歴のある人間だったこともあり、
通常よりも早い出所となったようだった。
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2人は敢えて出所の日をユリには明かさず、待ち伏せることにした。
出所後にしたいことを、蘭と竜胆は何度も話をした。
美容院、焼き肉、喧嘩、ゲーセン…
それよりも何よりも、ユリに会いたかった。
前から、少し大人びたユリが歩いてきた。
坊主頭で、少し気まずそうにこちらを見る2人を、ユリは呆然と見つめ返した。
「蘭ちゃん…竜ちゃん…」
次の瞬間、子どもの頃のように、3人は抱き合っていた。
―――――――――――――――――――――――――――
かつて住んでいたマンションは、
蘭と竜胆の手下たちが管理していたらしかった。
ピザを取り、久しぶりに3人で食卓を囲む。
「何から話していいか分かんないけど…」
「寂しかったぁ？」
いつもの調子で、蘭はヘラりと笑う。
「兄ちゃんの方が寂しがってたくせに」
「黙れりんどー」
「あの…」
「「なぁ〜に？」」
「坊主、似合ってないね」
ユリの言葉に3人は大爆笑だ。
喧嘩で人を殺すような人間でも、
ユリにとっては大切な幼馴染に変わりなかった。
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
