▼第3部 運命の分かれ道1 ページ13
ユリは考えた。
サトシや自分の周りに兄弟の存在を知られてはならない。
父に知られるようなことがあれば、どうなるか…
ユリは2人に、できるだけ部屋の中で過ごそうと言った。
数週間会わなかった反動なのか、蘭と竜胆はユリにベッタリだった。
「なぁ、髪乾かしてよ」
「らんちゃんもう子どもじゃないでしょ！」
「ねぇ、服着せてよ」
「きゃあ！りんちゃんのバカ！」
「なぁ、泊まってけよ」
「それいいね兄ちゃん！」
「叱られちゃうでしょ！！」
それでも、どうしても外に遊びに行きたいと2人が拗ねた時は、
ユリが変装をするようになった。
一緒にいるためだと言えば、2人はとりあえず納得したようだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
サトシの方は、灰谷兄弟のことを調べ続けていた。
ユリとサトシが通う学校にも、
何人か紛れていた六星コミュニティの下っ端に聞けば、
灰谷兄弟の羽振りの良さには裏があるようだった。
そしてある日、突き止めた。
2人はいわゆる、中抜きをして儲けているのだと。
末端の者たちは分け前を貰うことで、口止めをされているようだった。
いくら喧嘩が強くても、灰谷兄弟はまだ中学生。
警察が追っているほどの暴走族を騙していることがバレれば、
無事で済むはずはないとサトシは考えた。
そして…匿名で証拠を送りつけた。
―――――――――――――――――――――――――
証拠を見た狂極の幹部たちは怒り心頭だった。
「六本木のクソガキ兄弟がねぇ…」
「ナメてくれんじゃねぇか」
「落とし前…どうします？」
副総長は答えた。
「明日の夜…呼び出せ。
それでいいな？」
総長はニヤリと笑った。
「見せしめに、嬲り殺してやろうぜ」
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
