君は俺の運命【灰谷蘭】 (ページ12)

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金曜日、ユリの誕生日。

サトシの家に、クラスメイトや部活の友達を招いて、
お祝いをしてくれるのだと言う。

普通の幸せはきっとこういうことなんだと、ユリは思った。

夕食をご馳走になった帰り道、
まだなんとなく帰りたくなかったユリは、
六本木を歩きながら、考え事をしていた。

すると…人ごみの中に見覚えのある三つ編みが見えた気がした。

―――もしも今日蘭に会えたら―――

願掛けをして、後ろからそっと近づく。

振り向いたのは、

蘭だった。

逃げようとする蘭を、全体重をかけて阻止する。

人気のない公園で、やっと蘭は口を開いた。

「なんで、俺の味方してくれねぇの」
「してるよ」
「なんで、俺以外の奴と仲良くすんの」
「蘭にも私以外の友達がいるでしょう？」
「なんで…」
「蘭ちゃんおいで」

そう言って、ユリは微笑みながら、蘭を抱きしめた。

「私にとって…
　蘭ちゃんは何をしてても…
　ずっとずっと1番大切な人だよ…」

ユリの腕の中は、世界で一番温かい場所だと思った。

―――――――――――――――――――――――――――――

久しぶりに訪れた灰谷家は、荒れ果てていた。

それでもユリの姿を見れば、竜胆は尻尾を振って喜んだ。

流石は出来る弟、
無事にユリへの誕生日プレゼントも渡すことができた。

到底普通の小学生では買うことのできないブランドのブレスレットには…

蘭と竜胆と百合の花が彫られていた。