検索窓
今日:21 hit、昨日:20 hit、合計:152,744 hit

私だけでいい【太宰治】 ページ7

「ねぇ、何で私以外の色んな人に簡単に尻尾振ってるの」

探偵社の打ち上げも終わり、私はすっかり酔った太宰さんを引きずりながら夜道を歩いていた。
探偵社のみんなには私が太宰さんの彼女ってだけで押し付けられるし理不尽この上ない。

「起きてるなら歩いてよ」

「やーだぁ」

駄々を捏ねる子供のように彼は私の首に縋り付く。重い。

「大体さ、乱歩さんと距離近すぎない?今日だってお酒の飲みあいっこしてたじゃん」

それは太宰さんの飲むお酒は私には強すぎるから。
だけど私は何も言い返さずに歩き続ける。シラフじゃない彼に何言ったって無駄だ。

「敦くんともさ、この前一緒に仕事した後ご飯食べに行ってたじゃん。彼氏の私を差し置いて」

いや別に同僚とご飯食べに行ってるだけだが。それに鏡花ちゃんもいたのですが。

「あとさ、国木田君とこの前サシで飲みに行ったでしょ」

太宰さんに振り回されてる同盟組んでるからね。
事前に2人で飲みに行くって言ったら普通に送り出してた癖に。

「賢治くん可愛いって言ってるし」

事実だ。賢治くんは天使。

ぎゅっと腕の力が強くなった。
耳に太宰さんの吐息がかかる。

「…私のことは?」

「うん?」

「私のことは何も言ってくれないの…?」

あ、ちょっと今犬っぽくて可愛いと思った。
犬に例えられると太宰さんは嫌がるだろうから絶対に言わないけど。

「あ、家着きますよ。階段は自分で登って」

太宰さんはのろのろと階段を登り、家の前までくるとポケットから鍵を取り出した。

「それじゃ、帰るね。次は酔い潰れないで」

そう言って後ろを向いた私を強い力が引っ張った。そのまま太宰さんに玄関まで引きずりこまれる。
バタンとしまったドアに鍵をかける音がした。

「ちょっと…!だざいさ……んっ…ぅ」

彼を咎める前にドアに縫い付けられ、乱雑にキスをされる。
角度を変えて何度も啄ばむようなキスをした後、太宰さんの舌が入ってきて一気に深くなる。
舌が上顎を優しくなぞって声が出てしまう。

ぺろ、と私の唇をひと舐めして太宰さんの唇はようやく離れた。

「好きだよ」

噛みしめるようにそう呟いた後、太宰さんは私を抱き締めた。

「だからAを独り占めしたい。誰にも見せたくない」

その姿があまりにも妖艶で目を奪われる。

「八方美人は好きじゃないんだ、だから今からAを躾ようと思う」

こてん、と首を傾げながら太宰さんはえげつない事を言った。

「Aは私だけ見てればいいからね?」

無邪気に笑って太宰さんはループタイを緩め、再び私を貪るようなキスをした。

約束【宮沢賢治】→←恋慕落ち話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (308 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1996人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

赤羽 - 最高!続きいつまでも待ってます、、二千年後も (2月23日 17時) (レス) @page25 id: 462520c403 (このIDを非表示/違反報告)
りお - 加藤めっちゃ人気やな…良かったな加藤☆ (6月13日 20時) (レス) @page25 id: 277740fe28 (このIDを非表示/違反報告)
るりら - 最高 (2022年12月25日 16時) (レス) @page7 id: db0aaa71fc (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 加藤ー!安吾よ。((後何言うんだっけ?あれ? (2022年3月10日 21時) (レス) @page25 id: e165a9ec89 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花 - 推していても推していなくても、全てのキャラがかっこいい…素敵な作品、ありがとうございます! (2022年1月22日 13時) (レス) @page25 id: 4b25a88413 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しぐれった | 作成日時:2019年7月7日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。