愛は遊戯で奪うもの【芥川龍之介】 ページ14
「「「「王様だーれだ」」」」
「俺だ」
中也が低い声でそう言って箱から紙を取り出す。
「ん、3番と5番がキス」
平然とした顔で中也は言い放った。
「あれ?中也くん、足りなくない?」
茶化すように首領が言うと中也は舌打ちした。
中也が見せた紙には端正で丁寧な…さながらリーダーたるものが書くような美しい字で『深く』と書いてあった。
「深くだ、深く」
もうなんとなく見なくてもわかるが一応見ると5番だった。
みんな的確に私の番号を当てるなぁ…。
「僕だ、3番は」
おず、と芥川が歩み出た。
「ふむ、深くか」
芥川がそっと私の腰を抱き寄せた。
やばい芥川の腕が細くて、胸板が薄くてこっちが不安になる。
「そう固くなるな。力を抜け」
くいっと顎を白い指が持ち上げたかと思うとそのまま口付けされた。
芥川先輩の微かに匂う香水の匂いが優しく鼻腔を擽る。
軽めのバードキスが本当に啄むように降ってくる。
うん、芥川は可愛い。
「A、その…口を開けて欲しい」
言われて小さく口を開けると間髪入れずに口を塞がれた。
ぬる、と舌が侵入してくる。
さっきとは全然違う貪るようなキス。
前言撤回、芥川は可愛くない。
「ん……はっ………ぁっ……ぅっ……」
だんだん酸素が薄くなって息が出来なくなる。
芥川の舌が上顎をなぞってビリビリする。
「ちゃんと、息をしろ」
一旦唇を離した芥川は掠れた声でそう言うと、また私の口を塞いだ。
私の舌が絡め取られてから一気に力が抜ける。
私の腰を支えて芥川は尚も続ける。
「ストップストップストップ!!」
首領の声が聞こえて芥川はピタリと止まる。
このデジャヴ感。やっぱり首領だなぁ。
芥川が離れていった。私は息を整える。
「俺より…長いじゃん」
立原くんは何とも言えない顔をしていた。
「あーあ、損したよ。あれ私やりたかったなぁ」
首領がしゅんとしたように言った。
「まぁ、まだまだあるし続けようぜ」
梶井君が明るく言った。
…まだまだ???聞き間違いだと信じたい
愛は遊戯で奪うもの【梶井基次郎】→←愛は遊戯で奪うもの【森鴎外】
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赤羽 - 最高!続きいつまでも待ってます、、二千年後も (2月23日 17時) (レス) @page25 id: 462520c403 (このIDを非表示/違反報告)
りお - 加藤めっちゃ人気やな…良かったな加藤☆ (6月13日 20時) (レス) @page25 id: 277740fe28 (このIDを非表示/違反報告)
るりら - 最高 (2022年12月25日 16時) (レス) @page7 id: db0aaa71fc (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 加藤ー!安吾よ。((後何言うんだっけ?あれ? (2022年3月10日 21時) (レス) @page25 id: e165a9ec89 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花 - 推していても推していなくても、全てのキャラがかっこいい…素敵な作品、ありがとうございます! (2022年1月22日 13時) (レス) @page25 id: 4b25a88413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぐれった | 作成日時:2019年7月7日 14時