共鳴する重力【文スト】 (ページ9)

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きゅうページ9

「購入履歴から彼女の素性が分かったよ。中也くん、君にも関係のある事だから聞いて欲しい」

と、電話があってから直ぐに拠点へと向かった。

「やぁ、Aちゃん。今日も可愛いね」
抱えられている少女の頭を撫でる首領。

「A…？」
気に掛かった単語を繰り返して首をひねる少女。

「アレキサンドライトじゃなくて？」

「うん、君の名前はAだよ。
甲八一一二號」

首領の最後の言葉で腕の中で身を硬くした少女。

「その名前言う人、怖い。痛いことする、嫌」
血の気が引いた真っ青な顔をして中也にしがみつく。
安心させるように小さな背中を撫でるとガタガタと震えが伝わってきた。

「簡潔に言うと彼女は異能力者ではなく兵器として作られた人工物。
神を降ろすために作られた身体に、荒覇吐の一部を入れた存在だ」

なんて残酷な言葉だろうか。

「それをいろんな被験体で試した結果、失敗作と成功作の間が君だAちゃん。
7年前の大爆発の時、研究員が慰み者として君を施設の外に監禁していたから生きているんだろう？」

「失敗作だから、何をされても、黙ってろって、あの人たち、言ってた」

その言葉を確認してさらに首領は続けた。
小さな身体の震えは強くなっている。

「施設が何者かに爆破され、自分達が狙われると思った研究員は闇オークションで君を出品し、そこから転々と持ち主が変わっていたそうだね。出品される度に『主人を殺す不吉な模擬金剛(アレキサンドライト)』として」

「誰も、殺してない、だって」

「記憶にない、違うかな？」

言葉を遮ってにこりと笑う首領。
その言葉を聞いてこくりと頷く少女。

「首領、１つ質問させてください。なぜ短時間でそこまで分かったのですか？」
涙を浮かべ、静かに泣き出してしまった少女を強く抱きしめる。

「彼女の所有者たちが死ぬ時期と中也くんの任務の時期が重なってね。様々な資料を再度調べてみたら彼女について僅かに記載もあったたのだよ」

船が沈んだ時間、俺は…任務で異能を使った。
「俺の異能の発動が此奴にも影響するって事ですか」

「仮説の１つとしてね。Aちゃん、何か質問は？」

「いつも、身体の奥の中の強い誰かが、暴れるのか怖かった。
でも、いつも、助けてくれてた。
だから、好き。

これは、だれ？」

少女の瞳の中に力強く光が宿った。
中也はその瞳を見て静かに語りかけた。

「それは、俺の中に居る強ェのーー荒覇吐ーーだ」