共鳴する重力【文スト】 (ページ6)

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ろくページ6

「よろしい。続いて調査の報告をしてくれるかな」

えー、と渋い顔をする太宰。

「ウチの積荷の乗った船を沈めたのはその子供の異能力の仕業だね。
しかも、面白い事に今日の最初の任務で潰して来た敵組織の購入した商品ときた。
結構な価格で買われたみたいだねぇ模擬金剛(アレキサンドライト)？」

太宰の最後の言葉に身を硬くするその人物。

「ほう」

「森さん、この子供どうするつもり？」

首領は唇を横に引くように笑っただけだった。
嫌な予感がする。

ーーー
ーー
ー
「いま後出ししただろ！！」

「そんなセコい事するわけないじゃん。中也相手にそんなの無駄だよ。じゃあその子の世話は中也ね」

だぁぁぁぁぁあ！！！ムカつく！！！
アイツいつか死なす！！！！！

あの後、首領から告げられたのはこの子供を引き取って戦力にするという旨だった。

「おい、いい加減に離せって」

「ちゅーや様」

「お？」

今までの会話の流れから中也の名前を察したのだろう。
突然に名前を呼ばれてキョトンとする。

「宜しく、お願い、申し上げます」

その場でぺこりと音がつきそうなほど深く最敬礼をする少年。

「おう。俺は中原中也だ。好きに呼んでくれ…っと。身体冷えてるよな。風呂にでも入るか」

「ふろ？」

「ほら、行くぜ」

踵を返して階段を上る。

寒い寒いと泣いていた上に、こんな寒空の下で海に浸かってたんだ。

そりゃあ寒いだろうな。
それこそ身も凍るほどに。

足音が聞こえず、後ろを振り返ると其奴はすっ転んでいた。

「大丈夫かぁ？」

「棄てないで、ください、お願いしますお願いします」

真っ青な顔で懇願する少年。
何やら事情がありそうだ。

「手、捕まれ」

手を差し伸べ、そのまま自分に引き寄せるようにして立ち上がらせ、抱えた。
どこまでも冷たい手と体だった。

ゆっくりと歩む其奴に合わせて拠点のシャワー室までやってきた。

ーーーー

「っ！？！？」

「？」

声にならない声で悲鳴をあげた中原中也。

ピシリと固まった中也の顔を覗き込んだ少年。
否、少女。

ぐっしょりと濡れた襤褸布を引っぺがしたらその下には何も身につけておらず、突然のピンチに襲われたのだ。

同性かと思いきや、その下半身には何もなく。

これはまずいだろ…年頃の女…いやこれは幼女の枠だろ。てか幾つだこいつ。
どうする俺。つーか太宰の野郎これを知ってやがったな。うわ、どうしたもんだ。

この間、およそ0.5秒。

中原中也、珍しくパニックである。