ミッションクリア/uszw ページ32
いつもと同じ通学路なのに、浮き足立っているのはきっと鞄の中のチョコレートのせい。
今日はバレンタインデーだ。世の中の女の子達がチョコレートと一緒に想いを伝える日。私も例外では無く、本命チョコを渡す相手がきちんといる。
「おはよ。今日早くない？」
眠たそうに欠伸をしているこの男は、私の彼氏の牛沢である。
今は人もいない、渡すならきっと今だ。……いやしかし、朝チョコレートを貰うと鞄の中に入れておかなければならない。それは邪魔になるのではないだろうか。
「お、おはよ……そ、そういえばミッション！やった！？」
「ミッション……？あぁゲームの話ね。やったよ」
気を紛らわそうとして、ゲームの話をしてみたが会話はそこで途切れてしまった。そこからは世間話をしてあっという間に学校に着いてしまった。
授業の合間の時間や昼休みに何度も渡そうかと思ったがタイミングが掴めず結局放課後になってしまい、牛沢は部活に行ってしまった。
「Aはうっしー待ち？」
1人教室で牛沢を待っていると、レトさんが通りかかった。
「そうですけど。レトさんは可愛い彼女にチョコレート貰えて幸せそうですね！」
「このチョコ貰うまでに俺の彼女俺がモテたことに嫉妬したんだよ？可愛くない？」
「それ朝から何回も聞いたし」
しっしっ、と追い払うと野次馬は消えていった。今から彼女と帰るのだろう。レトさんは今世紀最大のモテ期らしく、下駄箱にチョコが沢山入っていたらしいがそんなことはどうでもいい。
ゲームのミッションは簡単なのに、と思いながら私は暇潰しにスマホゲームをする事にした。
ぼやけた視界が広がっている。背中が暖かい。誰かのコートがかかっている。
「起きた？」
「え……あ、あれ！？私寝てた！？どのくらい！？」
「15分くらい」
部活で疲れているのに牛沢を待たせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「悩み事でもあんの？今日ずっと俺になんか言おうとして躊躇ってない？」
「ち、違う！躊躇ってたのは、チョコ……渡そうと、思って」
私は鞄の中からチョコレートを取り出した。
「なんか、いろいろごめんね」
「……キスしていい？」
「うん……ってえっ！？ま、待ってなんでそんな急にっていうかここ学校だしほら心の準備とか……」
全部言い終わる前に唇が触れた。
「俺の彼女可愛すぎだろって思って」
チョコレートを渡すミッションクリアの報酬は、甘い口付けでした。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
