君の横顔にキスをしたい/uszw ページ20
いつもと違った装いの町は歩いているだけで気分がいい。ライトアップされキラキラ輝く並木通り、幸せそうなカップル達、プレゼントを抱えて家族に囲まれる子供……私はクリスマスが大好きだ。
隣にいる彼氏の牛沢…もそれなりにはこの雰囲気は嫌いじゃないらしい。
「綺麗だね」
そう話しかけると牛沢は「そうだなー」と返してきた。吐かれた息は白く、一瞬で冬の空気と混ざりあってしまう。
そう言えばレトルトさんの彼女が「もしかしたらクリスマスどこにも行かないかも。イルミネーション見たいんだけどなあ…」なんて話していた気がするが、ほんとに家から出ていないのだろうか。
「レトルトさん達はイルミネーション見に来てるかな？」
「レトルトの事だからなんだかんだ来てるんじゃね？」
喉を鳴らしながら牛沢が笑った。確かにそうかもしれない。なんだかんだ可愛い彼女のお願いごとは聞きたくなるものだ。ガッチさんもキヨさんも彼女と過ごすと言っていたが今頃どこで何をしてるんだろう…と想像して少し笑みが零れた。
耳がツンと、冬の寒さで痛くなる。イヤーマフでもしたほうがよかっただろうか。
「やっぱり寒いね」
「そうだね」
隣の牛沢を見てみると鼻と耳が赤く染まっていた。キラキラ輝くイルミネーションの中で、たくさんの人混みの中で、この横顔が隣にあることになんだか幸せを感じる。じっと見つめていると牛沢に気づかれた。
「何？」
「なんでもないよ」
そういうと牛沢は「なんだよそれ」と言いながら笑った。
ふと、好きだなって改めて実感した私は気づけばその横顔に、牛沢の頬に、口付けをしていた。
「……は？A、ちょ、ここ、人」
焦る牛沢に私は謝る気なんて一つもなくて、「横顔にキス、したくなっちゃったからね」と言っておいた。
「意味わかんねぇ……」
顔を隠しているが隠れてない耳は先程より赤みを増した気がした。それは寒いからなのか、はたまた＿＿と考えていると、唇に感触がした。
「俺だけ振り回されてる感じなの、気に喰わない」
キスされたことに気付いて、私の口角は自然と上がった。
「んだよ……」
「幸せなクリスマスだな、と思って」
「俺も、幸せだよ」
繋いだ手はお互いに冷たかった。でもきっと、すぐに暖かくなる気がした。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
