終わりまでのカウントダウン【灰谷蘭】 (ページ1)

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1日目ページ1

私が最初に惹かれたのはその綺麗な髪だった。
黒と金で交互に染められている奇抜なその髪色と、それに反する地味なおさげ。

その姿を後ろから見つめていた時、目の前の人物が振り返って目が合う。

女の子にしては高い身長だと思っていたが振り返ったその人は男の子だった。

平行な眉毛。
おっとりとしたたれ目と大きな二重幅。
すっとした鼻筋。
小さめの口に薄い唇。
そこら辺にいる人よりも小さいであろう顔。

地味だと思っていたおさげの髪型はそれはとてもよく似合っていて、何よりも端正なその顔立ちの男の子に女の私は負けたと思ったのをよく覚えてる。

それが私と彼の出会いだった。

入学してから今まで全く知らなかった彼の事を噂で一瞬で知った。
名前は灰谷蘭くん。
高校3年生で1つ上の先輩。
六本木を仕切るカリスマ兄弟って言われる程の不良。

そして女の子を取っかえ引っ変えするような人ということ。
けれどそれも理解出来る。
その端正な顔立ちは学校中の女の子から人気があるようで、弟くんもイケメンと有名らしい。

不良なんて聞くと怖いって思うかもしれないけど、あの頃の私は『あの顔で不良とか…かっこよすぎ』だなんて思ってた。

それから学校で見かけるのは週に1回あるかないか。
それでも見かけた日はラッキーって思って嬉しくなった。
これが恋だって気づいた。
好きな人も彼氏も今までいた事のない私には大事件で…友人に相談したら全力で拒否された。

「ぜぇーったい！やめた！ほうが！いい！！！！」

『そんなに全力で言わなくてもさぁ…』

「やっとAに初恋が訪れたと思ったら、相手はまさかの灰谷蘭！？

無理無理無理無理無理無理」

首が取れちゃうんじゃないってくらい全力で首を振って否定する友人を睨む。

『ねぇ、怒るよ？』

「ごめんって…

でも、私はあんたのことを思って言ってんのよ？

悪いこと言わないから…灰谷蘭はやめておきな」

友人からの真剣なその目にその時は頷くしか無かった。

その日の放課後。

『なんで居残りなんか…』

勉強が苦手な私は先週行われたテストが1桁という異形を達成し見事補習となり居残りをさせられていた。

しかも補習は私の教室じゃなくて教科担当の先生のクラスでという。
絶対私のクラスに来るのがめんどくさかっただけでしょと思いながら来たことも無い先輩達の教室で再テストを受けた。

当の先生はというと奥さんから電話があったとかで現在席を外している。