紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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Aが欲しいものはなんでもあげたい。

それが例え高価なものでも
それを与えて２人でいれるなら

そんなものいくらでも用意する。


今ここに２人だけで
俺たちは昔と変わらず会話がなくても
結構成り立つ関係だと自負している。



ただ、


「っ…」

「なんで、そんな泣くん？」


聞かないとわからないことが増えてきたのは

１つの事実。



「泣い、てない」

「鼻真っ赤にしてよぉ言うわ」

鼻先を指でつつくとAの涙がひっこむ。
大きくて丸い目はキラキラと光る。




「…壱馬くんはスキルアップでどこまでいける？」

「なに？限界がどこかってこと？」

「・・・」


「とりあえず、やれることはやる。
グループのためなら模索してやりきる」



演技をしてからよく表現力を褒められて
これがまたパフォーマンスに繋がるのは嬉しかった。

全部をグループの活動に落としこめてるか
そこは結果がでないとわからない。


だからこそ走り続けられる。




「ランペのためになるなら…」

「新しい仕事？断るか悩んでんの？」

「う、うん」

Aは少し歯切れ悪く返事をして頷いた。



「Aでも悩むんやなぁ」

「悩むよーたまには悩むのー」

「なんかいつもポンポン仕事受けてるから
どんな基準で決めてるか気になっててん」


「ドラマに出たら出演者のところに
RAMPAGEって出るから即決！って基準」

Aはふふっと笑う。



いつだって俺たちグループのことを
Aは一番思って考えてくれている。



「たまにはAの気持ちも大事にしいや」

「…ありがとう、壱馬くん」


「やりたくないことはやらんでええからな」


丸い頭を撫でるのもいつぶりだろうか。

ほんの数日の無視がかなり堪えたな…



「壱馬くんたち次は貴族になるんでしょ？」

「いや俺はならんけどな」


「貴族の王子かー今回も豪華だろうなー
不良からの王子ってすごいよねほんと」


Aは嬉しそうに笑う。

「竜くん好きだから楽しみ」


「ハイローのイベントあるし竜はまだやで」

「まだでもなんでもいいのー
壱馬くんの演技が好きなんだから」



あ、思い出した。

演技が好きって、あの日も言われたんやった…

あの日から無視されて・・



「キスマーク？」

「な、なに！？」

Aは慌てて手で首を覆う。



あ、怒ってた原因ってそれ…？

いやむしろ、それかよ。





キスマーク

お気に召さんかったんや、うちの紅一点は。




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